ども、ぽこラボ所長です!
今回は中学数学を教えるコツを個別指導歴10年以上のベテラン塾講師の私がお伝えします!
新人の塾講師さんや、ご家庭でご家族に指導をされている方には必見の内容になっているはずですので、ぜひ参考にしてもらえればと思います。
この記事の内容は次の通り。
- 計算問題を教えるコツ
- 文章題を教えるコツ
- グラフ系問題を教えるコツ
- 図形問題を教えるコツ
- 基本的な授業構成案
- よくある質問
それぞれ解説していきます!
目次
計算問題を教えるコツ
まずは計算問題から。
高校入試でも必ず出てきますし、高校入学以降も必ず使うものなので、これを外してしまうと大ピンチに陥ってしまいます。
正直、計算問題は練習量でカバーすべきものなので、教えるだけなら苦労はしません。
ポイントは3つで、
- 100問以上は練習させること
- 昔習った計算問題も一緒に復習させること
- どんなミスをしているか考えさせること
です。
100問以上は練習させること
まず計算問題ができていない生徒さんに関して言えば圧倒的に練習量不足です。
教える側の感覚からすると
これくらいすぐできるようになる
と思ってしまいがちですが、私たち教える側もなんだかんだ100問以上は練習させられています。
習得の早い子で50問、これくらいなら学校の授業や宿題でクリアできる量。
習得の遅い子なら150問くらいは必要で、こういった生徒さんは学校の授業や宿題の50問分も活かせていないことが多いので、最低でも100問は扱いたいところです。
厚めの問題集ならそれくらい載っていますし、ググればいくらでも出てくるのでぜひ挑戦させてあげてください。
昔習った計算問題も一緒に復習させること
次に重要なのは昔習った計算問題も一緒に復習させることです。
例えば、連立方程式を新しく教える時には一次方程式を教えますし、二次方程式を教える時には、連立方程式と一次方程式を教えます。
このように以前習ったものも同時に復習させるのが重要ですね。
どういうものが一次方程式なのか、どういうものが連立方程式なのか、どういうものが二次方程式なのか、生徒さん自身で判断して解き方を自分の引き出しから出せるようにしないと全く意味がないので、
少し煩雑にはなりますが、ごちゃ混ぜの問題を作ってもいいですね。
どんなミスをしているか考えさせること
計算問題は計算のミスについて生徒さん自身の頭で考えさせることも重要です。
たとえば、
これかなり惜しいところまで行ってるんだけど、実はちょっとだけ間違えてるんだけど、どこでしょう?ヒントは、、、
みたいな感じで生徒さん自身にミスを気づく機会を与えてあげるのがいいですね。
同じミスを何個もしていることがわかれば以降は自分でも注意するようになるはずです。
計算問題に弱い子は分数計算の弱さを疑え
計算問題を必死に教えても、全然できるようにならない
と新人講師から助けを求められたことがありますが、大抵の場合は小学校レベルの計算で苦労しています。
例えば、九九が異常な遅さ(あるいは覚えていない)だったり、通分とか約分が正しくできていなかったり。
中1の正負の数の計算が出来ていない程度だったら、まだやさしい方ですね。
そういう時は必ず小学生レベルなど学年を繰り下げてでも出来ていない単元の問題を100問くらい解かせましょう。
宿題にしてしまって構いません。
文章題を教えるコツ
次に文章題を教えるコツです。
文章題は3つコツがあります。
- ルール化して手順を覚えさせる
- 小学生レベルの復習をさせる
- 前の単元の文章題も一緒に復習させる
ルール化して手順を覚えさせる
まず重要なのは「求めたいものを文字に置く」です。
これが出来るだけで文章題に困っている子も30%くらいは問題を解けるようになります。
これはこうやって解くんだよ
という解き方を覚えさせるよりも、
この問題で求めたいものは何?じゃあそれを文字において、次はこの文字を使って何か式を作れないか考えるんだったよね?どこかにヒントはないかな?
みたいな感じで解く時の思考経路をインプットさせる感覚が1番いいでしょう。
ただし、これに関しても最後は何問似たような問題を解いたか次第で結果が変わってきてしまうので、基本の問題数は100問単位で考えるようにしましょう。
小学生レベルの復習をさせる
文章題の問題が解けない子の半分以上は、小学生の「割合」の単元などで詰まっています。
経験上、文章題の中でも「道のり系」と「食塩水系」と「%が出てくる系」の問題が圧倒的に正答率が低いです。
これが出来ないと高校に入ってからも圧倒的に苦労するので、必ず小学生のテキストを使ってでも復習させましょう。
基本姿勢として、何か詰まっている単元がある場合には、「それよりも前の単元で何かにつまずいていないか」を探し当てるのが重要です。
前の単元の文章題も一緒に復習させる
ここでも同様に前の単元の文章題も一緒に復習させるのが重要です。
特に連立方程式だと2文字設定しなければいけませんけど、一次方程式と二次方程式は1文字だけ設定すればいいので、両者をごちゃ混ぜで問題に出すとぱっと見で解き方を思い出せないみたいなことがバンバン出てきます。
実際のところ、どんな文章題でも考えられるようにならないと意味がないわけですから、慣れてきたら、必ず混ぜて練習をするようにしてください。
グラフ系問題を教えるコツ
続いて、グラフ系の問題です。
グラフ系の問題は多くの日本人が得意としているのかなと思います。
数学が苦手な生徒さんでも割とグラフ系の問題は解けるようになります。
教えるときのコツは3つ。
- 具体から抽象へ
- 言葉の意味を正しく覚える
- 前の単元も一緒に復習する
具体から抽象へ
他の単元と比べてグラフ問題の時にだけ、講師側が抽象的な部分から指導をしがちなので、その点は必ず注意して欲しいところです。
例えば、
y=ax+bっていうのはね、、、
から新単元の説明に入ってしまうということです。
間違いなく、aとbに具体的な値を入れたものをいくつも説明して慣れたところで抽象化した方が生徒さんは理解しやすいはずです。
具体→抽象の手順で教えるというのを徹底するだけでもかなり教えやすくなるはずなので参考にしてみてください。
言葉の意味を正しく覚える
切片とか傾きとか、こういった言葉の意味を正しく理解してもらうようにしましょう。
交点とか、代入とか、この辺は結構雑に覚えていて、後々しんどい思いをすることが多いのですし、それほど手間でもないので丁寧に覚えてもらうようにしてください。
前の単元も一緒に復習する
グラフは特に前の単元で出てきたものと一緒に別のグラフが出てくることが多い単元なので、絶対に前の単元も復習しましょう。
例えば、放物線を習うころには生徒さんの頭からは反比例のグラフはすっぽり抜けています。
※高校生でも反比例のグラフ描けない子が多いのですが、、、
図形問題を教えるコツ
図形問題に関しては、教える3つです。
- 大きくできるだけきれいに描く
- 何度も描き直す
- 回転させる
大きくできるだけきれいに描く
講師も生徒さんも必ず図は大きく描く癖をつけましょう。
よく使われているB5のノートであれば、私なら1つの図しか入りません。それくらい大きく描きましょう。
そしてできるだけきれいに描きましょう。
きれいに描く方法も教えられる時には教えてあげるといいでしょう。
作図の知識の復習になりますし。
何度も描き直す
これも講師、生徒さん、両方に当てはまることですが、何度も描き直しましょう。
大学受験のセンター試験や共通テストにも図形の問題は出てきますが、素早く正確に解ける生徒さんほど何度も余白に図を描き直す傾向にあります。
図形問題は解いていくうちに情報が増えてきて、より正確に図を描き直そうと思ったら描き直せる瞬間が何度も訪れるものですから、その度に図を描き直したいところです。
これは講師側が口すっぱく指導しないと生徒さんにも伝わらないので、ぜひ意識的に指導してみてください。
回転させる
図形の問題に関しては、図形を回転させたり、反転させたりした図を頻繁に描いて、生徒さんの頭の中でもできるようにしてあげたいところです。
とある向きに図を描くと見つかる同位角が、図を逆さにすると見つからないというのは本当に頻繁に起こります。
できるだけテキストに与えられている図だけで満足せず、回転させた図も描けるようにするといいですね。
時々、図を反転させて描く宿題を出したり、空間図形を見る角度を変えた宿題を出したりしてみるのもいいでしょう。
基本的な授業構成案
授業の構成も軽く触れておきましょう。
基本的には次の2パターンかなと思います。
- 新単元の場合
- 入試対策やテスト対策の場合
それぞれについて見て行きますね。
新単元の場合
新単元解説の場合は次のような構成で進めることが多いです。
- 次の授業で扱う内容に関連する復習項目を宿題にする
- 宿題の解説
- 新単元解説
- 例題をいくつか解く
- 類題と復習項目で間違った部分のバツ直しを全て宿題に
- 次の授業で宿題解説
基本は新単元の授業でも「宿題解説→新単元解説→演習」の形で進められるといいと思います。
出来れば宿題解説に5割以上の時間を使って、残りの5割で新単元の解説&例題解説というイメージでできるといいでしょう。
宿題が少なすぎると、宿題解説に使う時間が少なくなりますし、多すぎると新単元の解説を出来なくなるので、その辺のさじ加減は徐々に覚えていきましょう。
特に宿題は全てを解説するのではなく、同じ解き方をするものは解説をカットするなどの工夫が出来るようになると時間のコントロールがしやすくなります。
入試対策やテスト対策の場合
入試対策やテスト対策に関しては、基本的に以下の流れでいいでしょう。
- 事前に鬼のように宿題を出す
- 宿題解説&抜けているところの類題解説
- バツ直し&さらに鬼のように宿題を出す
- 次の週に解説
ポイントは鬼のように宿題を出して、こちらも気合で解説しきることです。
テストに関しては
- 週1回しか授業がない生徒さんだったらテストの3週間前に宿題を出す
- テストの2週間前に解説して、さらに宿題を出す
- 1週間前に最後の確認をする
みたいなスケジュール感で進められるといいでしょう。
よくある質問
最後によくある質問に回答します。
思いついたら今後増えるかもしれませんが、とりあえず執筆時点で思いついたものだけ書いておきます。
- 次の日、次の週には忘れている
- 計算問題の単元は教えることがない
次の日、次の週には忘れている
授業をした時には覚えてくれてるんですけど、次の日には忘れているんですよー
みたいな嘆きを新人講師さんからいただくことがあります。
これに関しては、
そりゃそういうもんだから
っていう感覚が大事です。そもそも1回説明したくらいで覚えられるなら、塾に来ようと思わないですよね?
最低でも同じことを5回は説明するものと思っておいてください。この前提条件のもとで、宿題や授業の構成を見直してみましょう。
それでもペース的には問題なさそうですか?
また、宿題が少なすぎたり、宿題をやるタイミングが悪かったりしませんか?
それも要チェックです。
宿題が少なすぎたら、もちろん次の週には忘れています。
定着するのに必要な演習量は講師基準で考えてはいけません。
言い方はよくないかもしれないですけど、生徒さんにも自分自身の実験に付き合ってもらって生徒さん基準で考える必要が出てきます。
また、宿題をやるのが授業から6日後(塾の前日)にやっても、その頃には結構忘れていて、解けないみたいなことは頻発します。
生徒さんのストレスのためにも、次の日にはやっておいた方がいいよ、とメリットを提示しつつ次の日までにはやってもらうようにするのがお勧めです。
計算問題の単元は教えることがない
これも良く聞くのですが、
教えることがない単元って授業中に何を教えればいいの?
みたいなことを思ったことはないですか?
計算問題系の単元でよくありますよね。
ですが、計算問題の単元でも教えることはいくらでもあります。
具体的には、次の単元の準備ですね。
例えば、連立方程式を教えたら、次の単元は連立方程式を使う文章題が出てくるのですから、一次方程式の文章題の復習を間に挟んでおいた方が、確実に次の授業は進みが良くなります。
とにかく、次の授業、次の宿題が効率的に進むかどうかを意識した授業構成を目指しましょう。
今、あなたが教えている単元の次の単元は何ですか?
その単元がテンポよく進むために必要な知識は何ですか?
その知識の復習は生徒さんに必要ではないですか?
チェックしてみましょう。
まとめ
今回は中学数学を教えるコツをベテラン塾講師の目線で解説しました。
参考になっていれば幸いです!
それではまた、所長でした!
こちらも興味があればご覧ください!
>>研修担当が教える個別指導の教え方まとめ|全7記事で細かく解説!