ども、ぽこラボ所長です!
今回は、大学受験物理に「新物理入門」「理論物理のための道標」「秘伝の微積物理」「導出物理」は必要ない!ということを
- 東大物理学科卒
- 個別指導歴約15年
の立場で解説していきます。
ようは「微積物理」なるものは「大学受験の範囲では必要ない」ということですね。
これを丁寧に解説していこうと思います。
目次
数学の微積分の知識を使って物理を勉強するメリット

微積物理は否定派ではありますが、微積分を活用して勉強するメリットがないわけではありません。一応解説しておきますね。
メリットとしては2つ。
- 現象の理解が深まる
- まれに入試問題を解くときに役立つ
1つ目は現象の理解が深まるということですね。
ケプラーの法則だったり、交流の単元だったり、微積分を使わないと「ただの暗記」になってしまう単元も正直けっこうあります。
そういった単元は数学的に理解しておけば、ただの暗記ではなくなるので、問題もやや解きやすくはなるでしょう。
また、たまーーにですが、入試問題で微積分が出てくることがあります。
※正確に言えば、微積分ではなくΔ記号を使ってごまかしながら出題されますが。
具体的には、ポアソンの公式とか、ベータトロンの問題はよくΔ記号が出てきますね。
とはいえ、これも別に微積分を使った物理の知識を持ってなくても解ける人は多いわけですから、微積物理の知識は必須ではありません。
微積物理が大学受験には必要ない理由

ここからが本題です。
私が微積物理を否定する理由は4つあります。それがこちら。
- 微積が必要な問題は基本的に出ない
- 微積で解くほど試験時間に余裕はない
- 基本問題すら解けない人が多い
- 他科目との勉強のバランスが悪くなる
それぞれ見ていきましょう。
微積が必要な問題は基本的に出ない
まず最初は「微積が必要な問題は基本的に出ない」ということです。
大学受験は教科書範囲で出すルールになってますから、微積物理を知らなくても解けるように、ものすごく工夫の上作られています。
もちろん知っておいた方が素早く解ける、ということがないわけではないですが、知らなくても解けるという事実を忘れてはいけません。
微積で解くほど試験時間に余裕はない
2つ目は「微積を使って解くほど試験時間に余裕はない」ということ。
微積物理を使うと、基本的に微分方程式を積分して解かなければいけないタイミングが増えてしまいます。
そもそも微積物理を勉強しようと思うのは、受験生の中でも旧帝大や早慶以上のレベルを目指す人だと思います。
こういった大学は「理科の試験時間がかなり厳し目に設定されている」ことがほとんどです。
だからこそ公式を覚えていれば解ける問題を、わざわざ微分方程式を解くなんて、やってられないんですよ。
球の体積の公式は、積分すれば導けますけど、わざわざ導きませんよね?
それと同じです。
基本問題すら解けない人が多い
経験上、
と思っている人のほとんどがそもそも基本問題がちゃんと解けません。
「セミナー」とか「リードα」くらいの簡単な問題は、全問題自力で解けますか?
※もちろん発展問題まで含めて「簡単な問題」ですよ。
物理現象を深く理解する前に、簡単な問題を秒で解けるようになってください。
公式を正しく使えるようになってから、公式の意味を深く理解するのでも全く問題ありません。
他科目との勉強のバランスが悪くなる
最後は他の科目とのバランスが悪くなるということ。
微積物理をやりたい人は、物理で高得点を狙いたい人だと思いますけど、その前にもっと得点を上げやすい科目はありませんか?
90%得点できる科目を100%にするよりも、30%しか得点できない科目を70%に持っていく方が簡単なんです。
大して得点が上がらない微積物理を勉強する前に、バランスよく他の科目の得点を上げるために時間を使いましょう。
最難関大学に向けて何を勉強すべきか?おすすめ参考書は?

それでは、旧帝大だったり早慶だったりの最難関大学に向けて、物理は何を勉強すべきか解説します。
具体的には次の通りです。
- セミナーなど
- 名問の森
- 重要問題集
- 過去問
- 時間があれば標準問題精講
- 時間があれば難問題の系統とその解き方
まずは「セミナー」や「リードα」などの学校で配られる問題集をキッチリやり切りましょう。
それすらできないような人が微積物理とか言ってる場合ではありません。
次に「名問の森」か「重要問題集」を、時間的に余裕があれば両方やってください。
ここまでできれば、東大でも京大でも80%以上の得点を狙うことができるようになります。
次に過去問演習です。
最低でも10年分以上は満点を取れる状態にしてください。
東大や京大なら25ヵ年をゴリゴリに回している人も多いんで、そこまでしっかりやり切りましょう。
そして、浪人生の場合は、現役でここまでやりきってる人もいると思うんで、その場合は「標準問題精講」(標問)や「難問題の系統とその解き方」(難系)で演習もするといいですね。
現役生の場合は、基本的にまずは過去問を完璧にこなせるようになるのを優先してください。
指導者は微積物理も知っておいた方が良い

最後に、指導者は微積物理も知っておいた方がいいということも補足しておきます。
「高校物理の範囲で説明できる内容なのか」それとも「高校の範囲を超えるから暗記で対応するしかないのか」を瞬時に判別できる方が生徒さんの時間を奪わずに済むからですね。
あとはどうしても裏の原理を知りたい生徒さんも時々いますから、彼らに自分で勉強させてはいけません。
指導者が短時間でパパッと説明できるに越したことはありません。
まあ理系の大学生の多くは教養として微積物理程度の内容は大学の授業で習うはずですが、あんまり大学生の皆さんは勉強しないので、そういう方は以下のような参考書も読んでみるといいでしょう。
微積物理の前に基本〜過去問まで完璧にしろ!

ここまでをまとめると、
ということに尽きます。
大学受験のためだけに、微積物理を勉強することを反対する理由は以下の通りです。
- 微積が必要な問題は基本的に出ない
- 微積で解くほど試験時間に余裕はない
- 基本問題すら解けない人が多い
- 他科目との勉強のバランスが悪くなる
大学に入ってから、大学生向けのテキストだったり授業だったりを使って勉強しましょう。
東大の物理学科卒の講師が言ってるんで、信じてください。
ベテランの塾講師・家庭教師の立場からすると、
正直な話、指導をお願いしている人に微積物理を勧められたら、指導力を疑った方がいいです。
生徒のレベルか、過去問のレベルが理解できていない可能性が高いですからね。
まずは
- セミナーなど
- 名問の森
- 重要問題集
- 過去問
- 時間があれば標準問題精講
- 時間があれば難問題の系統とその解き方
あたりの教材を終わらせてから、微積物理は考えるようにしてくださいね。
もし物理の指導・勉強方針の相談も含めて、家庭教師に興味があれば、私も家庭教師をしているので、ぜひこちらから詳細をご覧ください。
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