ども、所長です!
今回は標準問題精講のレビューです。
目次
執筆者のプロフィールと記事の信頼性
この記事を書いているのは東大出身の塾講師の「所長」です。
10年ほど個別指導をしておりまして、参考書執筆の調査のために実際に問題集を一通り解いてみるチャレンジ企画をしております。
こちらが実際に解いてみた証拠のYouTube動画です↓
問題数・所要時間・難易度・到達点など
ではさっそくレビューしていきます。
問題数
大問構成は次のようになっています。
- 力学:26
- 熱力学:10
- 波動:19
- 電磁気学:25
- 原子:10
大問自体は他の問題集と比べてもかなり少ない部類で、合計90問です。
しかし、大問数にとらわれていると、各大問に小問がそこそこの数ありますから、あまり大問数だけで騙されないようにする必要があります。
所要時間
一周にかかる時間はYouTubeの方に動画として証拠が残っていますが、
プロの塾講師が解いて答え合わせをして、解説を読むという所までで合わせて31時間ほどかかります。
受験を意識して解かれている方で、この問題集の適正レベルに達している方なら、塾講師の倍くらいの時間ではクリアできるはずですから、
受験生が解いたら、62時間くらいになると予想されます。
以前レビューした名問の森と比べると、短い時間で最後まで勉強できますが、
名問の森が2冊で、標準問題精講が1冊だから半分の時間でクリアできるかというと全くそんなことはありません。
難易度&到達点
物理の標準問題精講はかなり難しい参考書と言っていいでしょう。
実際、この問題集は受験生が時間的な意味で現実的にしっかり扱える範囲の中では最高峰の難易度の問題集です。
東大のようなオリジナルな難問を出す大学でも、物理を武器にして受験を迎えられるくらいの到達点になっています。
部分的には数3の知識が必要だったり、微分積分の考え方を使わないと時間を食う問題があったりと、物理の内容そのもの以外に難しい所があったりします。
よほど余裕のある方でないと現実的にはこの問題集のレベルまでやり切るのは難しいのではないかなと思います。
一部の超難関な大学を除けば、過去問を解いている方が易しく、はるかに有意義に時間が使えますから、やるかやらないかは時間とも相談して決めるといいですね。
特徴
問題集自体の特徴を説明していきます。
数学的に難しい扱い・微分積分の知識があった方が良い問題がある
先ほど少し書きましたが、高校数学の中ではそこそこ難しい数3の知識が必要な問題があったり、
微分積分の知識がないとかなり遠回りして解かなければならない問題があったりします。
※微分積分の知識に関してはもちろんなくても解けはしますが。
例えば、高校数学の中ではそこそこ難しめの関数の最大最小を考える系の問題だったりは苦手な方は解説を読んでも理解できないこともあるかもしれません。
別冊解答が使いやすい
別冊解答の形式になっていて、さらに略解が各大問の最初に書いてありますから、かなりレイアウト的には見やすい構成になっています。↓こんな感じ
解説の丁寧さで言っても、この問題集のレベルに適切なレベル感になっています。
いちいち簡単なことは説明しすぎず、難しい所は少し手厚めに解説されています。
そもそもが難しい参考書なので、解答を読んでも理解できないという場合は、数学が苦手すぎるか、
もしくは物理でそもそもこのレベルの参考書にチャレンジするレベルでない可能性が高いです。
大問1問1問が非常に重い
難しい参考書であることは上に何度も書いていますから、わざわざ説明するほどではないかもしれませんが、
各大問はそこそこ分量があって、塾講師である私が解いても1時間で大問2問分くらいしか進まないことも普通にあります。
そういった意味では勉強の計画は立てにくい参考書だと思います。
毎日1時間とかで決めて勉強をしていたりすると、頻繁に中途半端な所で1時間を迎えてしまいがちです。
また、各大問が重いということは2周目以降もそれほどテンポアップしないということでもあります。
そのあたりも踏まえてチャレンジしてみるといいですね。
問題ごとの難易度を★で表現
各小問ごとに、星なし、★1個、★2個の3段階で難易度が分けられています。
★2個の問題もすらすら解けるレベルになってくると東大でも満点を目指すようなレベルになってきますから、一周目は★2個の問題はパスしてしまって構わないです。
まとめ
今回は標準問題精講のレビューをしました。
- 問題数は合計90問。予想所要時間は62時間。
- 高校上級レベルの問題集。その中でもかなり難しい方。
→これが終われば過去問演習 - 別冊解答が使いやすい。略解&適度な解説。
- 大問が1つ1つ重くて周回の時間がかかる。
- ★で難易度を分類。
以上がこの記事のまとめとなります。
各問題の注意点などを以下にまとめているので、必要な方は合わせてお読みください。
各問題の注意点
- 1(2):慣れていないと極限計算が難しい。
- 1(3):慣れていないと問題と解説と共に意味が理解できないかも。
- 22(1&2):問題を分ける理由が謎。
- 22(3&4):問題を分ける理由が謎。
- 22(5&6):「つり合いの位置」=全問のXのこと。(6)は微分積分の考え方を使わないと理解しにくい。
- 38:全体としてかなり難しめの問題。
- 43(5):良い記述問題。
- 51(3):かなり難しい。
- 67:ダイオードの扱いに慣れていないと全体を通して難しい。解説を読んでも分からないかも。
- 68:数3のちょっと面倒な計算が必要。
- 69(5):かなり難しい。
- 75:全体を通してかなり重い問題。