(※数式が見切れている場合は横スクロールしてください。)
流れ的には外積の微分だけ見ておけば十分ではあるのですが、ついでに内積の微分もみておきたいと思います。ベクトルの微分も習いましたし、積の形をした関数の微分も習ったので、対応も割と見えやすいと思います。
まず時間依存するベクトルの時間微分の復習からしておきましょう。
\vec{x}(t)=\begin{pmatrix}x_1(t)\\x_2(t)\\x_3(t)\end{pmatrix}
\end{align}
と与えられているとき、
\dot{\vec{x}}(t)=\begin{pmatrix}\dot{x_1}(t)\\\dot{x_2}(t)\\\dot{x_3}(t)\end{pmatrix}
\end{align}
となるのでしたね。ベクトルの時間微分は各成分ごとに時間で微分すればいいだけでした。さてそれでは、次に内積と外積の時間微分も見ておきましょう。
\vec{x}(t)=\begin{pmatrix}x_1(t)\\x_2(t)\\x_3(t)\end{pmatrix},\quad
\vec{y}(t)=\begin{pmatrix}y_1(t)\\y_2(t)\\y_3(t)\end{pmatrix}
\end{align}
と与えられているとき、その内積は、
&\vec{x}(t)\cdot\vec{y}(t)\\
=&x_1(t)y_1(t)+x_2(t)y_2(t)+x_3(t)y_3(t)
\end{align}
です。この全体を時間で微分しようと思うと積の形の微分の公式が役に立ちます。要するに以下のように計算できます。
&\frac{d}{dt}\left(\vec{x}(t)\cdot\vec{y}(t)\right)\\
=&\dot{x_1}(t)y_1(t)+\dot{x_2}(t)y_2(t)+\dot{x_3}(t)y_3(t)+x_1(t)\dot{y_1}(t)+x_2(t)\dot{y_2}(t)+x_3(t)\dot{y_3}(t)\\
=&\dot{\vec{x}}(t)\cdot\vec{y}(t)+\vec{x}(t)\cdot\dot{\vec{y}}(t)
\end{align}
こうして内積にも積の形の微分の公式の形がそのまま持ち込めることが分かりました。
では外積の場合はどうでしょうか。時刻の引数を省略して書くと、
\vec{x}\times\vec{y}=\begin{pmatrix}x_2y_3-y_2x_3\\
x_3y_1-y_3x_1\\
x_1y_2-y_1x_2\\
\end{pmatrix}
\end{align}
という風に外積は表すことができます。全てを見ていくのは大変ですから、右辺の\(x\)成分を時間微分してみましょう。
&\frac{d}{dt}(x_2y_3-y_2x_3)\\
=&\dot{x_2}y_3+x_2\dot{y_3}-\dot{y_2}x_3-y_2\dot{x_3}
\end{align}
となります。このうち、第1項と第4項の和は\(\dot{\vec{x}}\times\vec{y}\)の\(x\)成分で、第2項と第3項の和は\(\vec{x}\times\dot{\vec{y}}\)の\(x\)成分であることから、他の成分も同様に計算すると、以下のことがわかります。
\frac{d}{dt}\left(\vec{x}\times\vec{y}\right)=\dot{\vec{x}}\times\vec{y}+\vec{x}\times\dot{\vec{y}}
\end{align}
積の形の微分のルールが外積のときにもうまく働いてくれることがわかりました
関連リンク
>>YouTubeで使用可能な数学と物理の参考書「アラサー高校物理」