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【大学力学】「物理学序論としての力学」藤原邦男(著)レビュー

ども、ぽこラボ所長です!

今回は大学生にお勧めの力学の教科書のレビューをしたいと思います。

この記事の著者

このブログの運営者であるぽこラボ所長が書いています。

私は東大出身の個別指導塾講師で、最近はYouTubeでも物理の解説動画をアップしています。大学レベルの勉強のやり直しもしたいということで読んだ本を今回は紹介したいと思います。

本格的に勉強を始めるときの1冊に!

今回紹介する力学の教科書はこちらです。

>>「物理学序論としての力学」 藤原邦男 著(東京大学出版会)

私が読んだのは2011年に刷られた第21刷です。

本の長さとしては索引まで含めて279ページですので、それほど長い本というわけではありません。

教育に対する熱い思いを感じる

特徴は2つありまして、そのうちの1つは「はしがき」と「はじめに」という20ページにわたる最初の1章です。

ここに著者の熱い思いが込められていて、力学の歴史や教育に対する思いがギッシリ詰まっています。正直な所、大学生の頃に私がこの本を敬遠していた理由もなんならそこにあるわけですが、教育をする立場を考えると、頷く所は非常に多いです。

物理学に限らず、大学院生などになり研究を始めると、今、自分が研究していることの歴史的な流れを踏まえることは研究者としては当たり前のこととなっていくわけですが、この本では「力学、すなわち物理の勉強事始めからその感覚(歴史の流れを踏まえた学習をすること)をぜひ身に付けてください」としっかり語っているように思います。

大学1年生や2年生くらいだと、単位を取ることに必死であったり、授業についていくことに必死であったりすることも多いとは思いますが、この感覚を早いうちに身に付けることは研究者を育てるという観点から見ると非常に教育的ですし、これ以上に教育的な本は他にはほとんどないのではないかと思います。教育に対する思想を感じる本です。

実験結果も踏まえた理論展開

これもまた当たり前の話ですが、「自然科学の理論を発展させるときには実験結果を上手く説明することができる」という当たり前の観点が必要です。

しかし、少なくとも大学受験までの範囲ではそこまでその事実を強調した指導をすることが難しいことは塾の講師をしている私にとっては当たり前ですし、大学に入って初めてこの感覚を身に付ける人が多いのも事実です。

特に本書の後半の方、「万有引力」の章や「剛体の力学」の章について言えば、かなり実験結果に触れて説明をされています。初等的な力学の教科書でここまで実験結果を意識しつつ教育的に記述されている本はやはり他にはほとんどないのではないかと思います。

研究者も考えている人にはぜひおすすめ

こういった特徴を持つ書籍ですから、研究者となりたい方は必ず一度は通っておいた方が良い本だと言えますね。

正直に申し上げますと、単位を取って大学を卒業することだけが目標の方にとっては少し重すぎる本であることは間違いないのですが、せっかく大学に入ったのであれば、そういった方も一度は通読してみることをおすすめします。こういった世界があるのだということを知るだけでも読む価値のある本です。

まとめ

今回、紹介した>>「物理学序論としての力学」 藤原邦男 著(東京大学出版会)の特徴をまとめておきます。

  • 「はしがき」や「はじめに」で教育に対する熱い思いを感じる本
  • 「万有引力」「剛体の力学」の章では実験結果にもかなり触れて解説している教育的な本
  • 研究者になることに興味を持っている人にぜひおすすめ!

ぜひ一度ご覧になってみてください!

それではまた、所長でした!

>>「物理学序論としての力学」 藤原邦男 著(東京大学出版会)

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