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まず展開や微分の公式を導くために必要なコンビネーションの計算から数学の勉強を始めていくことにしましょう。
例として以下の問題について考えることにしますね。
例
トランプのスペード13枚の中から、3枚選ぶとき、選び方の総数はいくらか。
手順としては以下の順で考えてみてください。
- 3つの枠を用意して順番に並べる総数の計算
- 同一視しなければならないものの数で割る
以下のような3枠を用意して、そこに左から順にトランプを並べることを考えます。一番左の枠には13枚の中から1つ選ぶので、13通りあります。
次の枠には残った12枚の中から1枚選ぶので、12通り。最後の枠はさらに残った11枚の中から1枚選ぶので11通り。
合計で\( 13 \times 12 \times 11 \)の選び方がありますね。ここまでは一応中学数学です。
ただし、もともとの問題では、3枚選べばいいだけでした。わざわざ順番に並べる必要はなかったわけです。要するに123と並べたものと231と並べたものは同一視しなければならないということです。
123を並び替える方法は\(3\times2\times1\)だけあります。123だけでなく346にも同じだけありますし、521にも同じだけあります。
ということは\(13\times12\times11\)を\(3\times2\times1\)で割ったものが今回の選び方の総数になるわけですね。では、13枚から3枚を選ぶのではなく、他の場合にはどうなるでしょうか。
たとえば、15種類のものから、5種類選び出す選び方も先ほどと全く同じ手順で、
\frac{15\times14\times13\times12\times11}{5\times4\times3\times2\times1}
\end{align}
と計算できます。
もう少し抽象的に文字を使ってみると\(x(\geq5)\)種類のものから5種類を選ぶ選び方の総数は、
\frac{x\times(x-1)\times(x-2)\times(x-3)\times(x-4)}{5\times4\times3\times2\times1}
\end{align}
となりますね。より一般に\(x\)種類\((x\geq y)\)のものから\(y\)個を選び出す選び方の総数は以下の記号を使って書くことが多いです。(マキノさんが数学を習った先生によっては\(C\)以外の記号を使った書き方をする方もいらっしゃるかもしれません。)
定義
_xC_y=\frac{x\times(x-1)\times(x-2)\times\cdots\times(x-y+2)(x-y+1)}{y\times(y-1)\times(y-2)\times\cdots\times2\times1}
\end{align}
\(C\)はコンビネーションの記号と呼びます。このコンビネーションの記号は以下の階乗の記号を使うとすっきりした表現に書きなおすことができるので、それも見ておきましょう。
定義
n!=n\times(n-1)\times(n-2)\times\cdots\times2\times1
\end{align}
これをnの階乗と呼びます。これを使って以下のように計算をすると、もっときれいな形でコンビネーションの記号を書き下すことができます。
_xC_y=&\frac{x\times(x-1)\times(x-2)\times\cdots\times(x-y+2)(x-y+1)}{y\times(y-1)\times(y-2)\times\cdots\times2\times1}\\
=&\frac{x\times\cdots\times(x-y+1)(x-y)!}{y!(x-y)!}\\
=&\frac{x!}{(x-y)!}
\end{align}
このコンビネーションの記号に慣れるためにいくつか問題を解いてみましょう。
問題
以下の計算をせよ。
&1.\quad_5C_3\qquad
2.\quad_5C_2\qquad
3.\quad_{15}C_3\\
&4.\quad_{15}C_{12}\qquad
5.\quad_xC_y=_xC_{x-y}(proof)
\end{align}
最後の問題は証明問題です。このテキストではあんまり出ないですし、あまり堅苦しく考える必要はありません。
解答
&1.\quad_5C_3=\frac{5\times4\times3}{3\times2\times1}=10\\
&2.\quad_5C_2=\frac{5\times4}{2\times1}=10\\
&3.\quad_{15}C_3=\frac{15\times14\times13}{3\times2\times1}=455\\
&4.\quad_{15}C_{12}=\frac{15\times\cdots\times4}{12\times\cdots\times1}=455\\
&5.\quad_xC_{x-y}=\frac{x!}{x!\times\left(x-(x-y)\right)!}=\frac{x!}{(x-y)!y!}=_xC_y
\end{align}
関連リンク
>>YouTubeで使用可能な数学と物理の参考書「アラサー高校物理」