ども、ぽこラボ所長です!
今回は個別指導で生徒さんに結果を出してもらうために覚えておくべき「基本の考え方」について解説します。
普段塾講師として、新人研修をよくやっているのですが、そのときに教える内容としては、少しレベルが高めで、どちらかというと中級者向けの内容にはなるので、
もう授業をすることには困らなくなってきていて、これからはもっと、「生徒さんには結果を出してもらう」という結果にコミットしていきたいという状態の方にぜひ参考にしてもらえればと思います。
目次
個別指導で授業内容よりも重要な教え方のポイント6選
まずは今回解説する教え方のポイントを全て挙げてみます。
- 価値観や環境の相違を意識する
- スタート地点の適切な把握
- 相手の気持ちを意識したコミュニケーション
- 楽しそうに教えられているか
- 成長したところを探しているか
- 1回で理解してもらえると思わない
それぞれ具体的に解説していきます!
価値観や環境の相違を意識する
講師をするくらいに何かの知識やテクニックを持っているのであれば、生徒さんとは何か違う価値観を持っていたり、違う環境で生活していたりすることがほとんどです。
たとえば、塾講師の場合は、
- 勉強するのが当たり前という価値観
- 宿題をこなすのは当たり前という価値観
- 嫌なことでも頑張れば報われるという価値観
- 5分前には到着すべきという価値観
- 勉強は邪魔しないという家庭環境
- 勉強への投資は惜しまないという家庭環境
などなどの価値観を持っていたりするかもしれませんが、これは生徒さんにとっては当たり前の価値観や環境ではありません。
- 勉強はしたいならすればいい
- 親兄弟も遅刻癖がある
- 家で勉強してたら邪魔される
- 勉強にもお金はかけたくない
という価値観や環境で育っているお子さんも大勢いらっしゃいます。
もちろん勉強以外にスポーツや芸術の世界でも同様のことが言えるでしょう。
価値観や環境の相違を意識していないと「講師の当たり前」を押し付けることも出てきてしまいます。
たとえば、
あなたが家で必死に勉強していれば、ご家族も静かにしてくれるだろうし、講習にもお金をかけてあげようかなって普通は思うよ
みたいなことを言ってしまって、
うちはそんな家じゃないけどな
と思われてしまったりとか。価値観や環境に相違があることは意識しましょう。
その上で、マインドブロックを壊していく必要があることもあります。
クラスメイトはまだまだ受験勉強をする雰囲気ではないかもしれないけど、他の高校だったらもうみんな毎日10時間以上勉強してるよ
みたいなことを教えてあげて、生徒さんのゴールに近づかせてあげるのは講師の役目ですので。
ちなみに、注意すべきは「趣味」「思想」「宗教」「生活環境」などなど。
日本人ならあなたと同じ環境で育ってきたと思わないことです。
特に「思想」「宗教」「生活環境」などは世界全体の常識をイメージして幅広くいろんな人がいることを認識したうえで授業に臨みましょう。
スタート地点の適切な把握
個別指導で生徒さんに結果を出してもらうために1番重要なのは、スタート地点の把握です。
ほとんどの新人講師は生徒さんにとって難しすぎる教材を与えてしまいます。
この事実だけは絶対に覚えておきましょう。
新人講師のうちは、自分が思っているよりも1段階簡単な教材やレッスンから始めてください。
例えば塾講師が、自分が高1のときはこんな感じだったな、という印象で高1の生徒さんに指導を始めると確実に失敗します。
塾講師している人の高1と、教えてもらっている人の高1は全く状況が違うので。
通っている学校も違いますし、中学時代の勉強内容の理解度も違いますし、家庭での勉強環境も全然違います。
スタート地点は丁寧に把握しに行った方がいいでしょう。
1回目から3回目くらいまでの授業はベテラン講師でも探り探り生徒さんの実力を見ながら授業を作っていくのが当たり前です。
探らなければならないのが当たり前という感覚を持っておくのが重要です。
今日の調子もチェック
ちなみにスタート地点だけでなく、今日この生徒さんは調子が良い、期限が良いのか、もしくは悪いのかも必ず意識してください。
世の中、「授業に来てしまえば、いつだって同じように授業を受けられる人」だらけではありません。
そんな人はむしろ少数派で、毎日体調や感情は違うんですから、それに合わせられるようになるのもベテラン個別指導講師の必須要件です。
特に異性の生徒さんの体調や感情には疎いものですから、同性の生徒さんの倍は気を付けるようにしましょう。
合わせられるようになる前にまずは、相手の今日のコンディションを意識して把握できるようにするところから始めて見てはいかがでしょうか。
相手の気持ちを意識したコミュニケーション
個別指導においては、授業中のコミュニケーションも非常に重要です。
コミュニケーションで大事なことは次の3つ。
- 生徒の気分をイメージして授業しているか
- 生徒がついてきているか意識して授業しているか
- 生徒が何を求めているか把握して授業しているか
それぞれ解説しますね。
生徒の気分をイメージして授業しているか
まずは生徒さんの気分をイメージして授業できているか確認です。
塾講師の場合だと、生徒さんは
ちょっとでも早く帰りたい
と思っているのにも関わらず、塾講師は
ちょっとでも多くを教えてあげたい
ということを思っていたりします。
熱心な講師で授業を延長してでもたくさんのことを持ち帰ってもらおうという感情は大事ですが、それが生徒さんの気持ちと一致しているかどうかは重要です。
熱心にやっているがゆえに嫌われていたら、、、虚しいですね。
生徒さんの顔を見ずに授業していると、こういうことになってしまいますので、必ず顔をチェックしつつ授業を進めるようにしましょう。
出来れば、あくびや貧乏ゆすりなどの身体的動作まで意識できると、感情の把握がしやすくなるのでおすすめですが、ちょっとレベルが高いので、徐々にいろんなところに目を配れるようにしてくださいね。
コミュニケーションは言葉でなくても取ることが出来るので、それを忘れてはいけません。
生徒がついてきているか意識して授業しているか
続いて、生徒がついてきているか。
集団授業であれば、多少、ついてこれていない生徒さんがいてもしょうがない部分はありますが、個別指導では絶対にあってはならないことです。
じゃないと個別に通う意味がないので。
生徒さんがついてきているかどうかは
分かった?
と都度問いかけるようでは二流中の二流です。
顔を見て判断できるようにしましょう。
顔を見て判断しにくい生徒さんがいらっしゃるのはもちろん分かりますが、そういった場合は適切な質問や問題を投げかけて、その反応で理解度をチェックしていけばOKです。
せっかく個別指導をしているのであれば、双方向に質問をしながら授業を進められるのがベスト。
これこそコミュニケーションです。
質問や問題に対しては正解だけれども反応速度が遅い場合は、勘で答えている場合もあるので、その辺も考慮してくださいね。
分かった?と聞くのがNGな理由についても解説しておきます。
理由は2つで、
- 時間の無駄
- 分かったって返しちゃう
です。
時間の無駄
顔を見て生徒の理解度を判断する方が「分かった?」を使うよりも圧倒的に速いですよね。
ちょっとでも無駄な時間を削いで授業してあげるほうが生徒さんのためになりますし、結果として、生徒さんが結果を残せば自分の評価にもつながります。
質問を投げかけると「分かった?」よりも時間はかかるかもしれませんが、これはこれで問題演習の時間になっているのでOK。
「分かった?」は問題演習になっていないのに時間を使っている最悪の時間です。
分かったって返しちゃう
生徒と講師の関係上、「分かった?」って聞かれたら「分かった」って返してしまいがちです。
分かっていないのに、気を遣う生徒さんもいれば、分かっていないことに罪悪感を持っている生徒さんもいる。
こんな状況で「分かった?」と質問するのは一種のパワハラ的な行為だと私は考えています。
これが正しいコミュニケーションと言えるでしょうか?
生徒が何を求めているか把握して授業しているか
生徒が何を求めているかを丁寧に把握しておかないと、あなたの丁寧な授業準備や、それに基づく高品質の授業も無駄になってしまいます。
例えば、塾の生徒さんだと次のようなパターンでは求める授業が全く違ってくるとは思いませんか?
生徒A:内部進学で良いから学校の授業から取り残されないような勉強をしたい
生徒B:とにかく~大学に合格したいから、ヤマをはってでも受かるための勉強をしたい
もちろん、塾の場合はスポンサーの保護者の方の意向もあるので、その辺も踏まえてすり合わせは必要になってきますが。
また、大きくは生徒さんの求めることを把握していたとしても、
もっとここを細かく教えてほしいんだけどなあ
と各授業ごとには思っていることがあるかもしれません。
そしてその求めるものをスルーしてしまっている場合があるかもしれません。
もちろん、授業の状況によって、あえてスルーして解説することもあるのですが、その場合は「なぜここは簡潔に解説をしているのか」は把握してもらわないと、生徒さんの求めるサービスからただただ外れている勘の悪い講師になってしまいます。
その場その場で生徒さんが何を求めているかに応じて対処するためには、やはり生徒さんの顔色を伺いながら授業をする余裕は必要です。
顔を見て授業をできるように練習すること、そしてその余裕を作るためにも必要な準備は事前にしておくことが重要ですね。
また「ここを教えてほしい」「ここが分からない」と言ってもらえる関係性を普段から築いておくことが重要。
これは普段からポジティブな言葉遣いを意識しつつ授業できているかどうかでだいぶ決まってしまいますので、その点も注意してください。
楽しそうに教えられているか
楽しそうに教えているかどうかはめちゃくちゃ重要です。
正直、講師がいやいや仕事をしていたらそれは生徒さんに伝わりますし、講師が緊張していたら生徒さんも緊張してしまいます。
逆に、数学が好きな先生に教えてもらえると数学が好きな生徒さんが増えます。
あくまでもフラットな関係性を意識した上で、楽しく勉強を教えてあげましょう。
と言っても、それだけではどうすればいいのかピンと来ないと思うので、アドバイスとしては、
1時間に1回~2回程度、ちょっとオタクっぽう知識やテクニックを披露しましょう。
私の場合だと、
受験でこれは出ないんだけど、実は~~
のように1時間に1回か2回くらいは大学レベルの内容を話したりしています。
それだけで
この先生は~~がよほど好きなんだな
と思ってくれるもの。
ちょっと凝った知識やテクニックを披露するだけでいいので、事前準備さえしておけば、意外と授業のテクニックは必要なかったりします。
慣れてくれば事前準備をせずとも、この間準備したネタをまた使えるな、とネタのストックは少しずつ貯まっていきますので、いずれ準備は不要になっていきます。
ちなみに、これを頻繁にやりすぎると、逆にウザがられるので、それはそれで注意してください。特にオタク気質の人。
成長したところを探しているか
授業中のポジティブさは常に求めていってほしいところですが、授業中によく出てきてしまうワードの、
「ダメ」
「不正解」
「違う」
「はずれ」
あたりは使わないようにしてほしい所。今すぐ封印です。
2択で間違えても「惜しい」というのが塾講師です(笑)
また生徒さんの結果だけを見て、正しい間違っているを判断するのではなく、同じ不正解でも成長した点を探すようにしましょう。
それこそ選択問題でも「昔なら全く分からなかったのに2択までは絞れるようになった」のであればそれは成長ですよね。
基本的に、以前と比べて成長した点を見つけて、それを指摘できる講師は生徒を伸ばせる講師です。
ポイントは「もともと出来ていた良いところ」を探すのではなく、「昔は出来ていなかったけど、今は出来るように成長したところ」を探すという点です。
覚えておきましょう。
1回で理解してもらえると思わない
最後です。
授業の基本スタンスとして、「1回で理解してもらえると思わない」というのは一生忘れないようにしてください。
嫌われている先生や上司の口癖に
この間も説明したけど、~~
っていう言葉はないでしょうか?
「この間も説明したけど」という言葉を吐くほど不毛な時間はないので、もし普段から使っているようなら今すぐやめましょう。
そもそもあなたの説明が悪かったから覚えてもらえていない、という事実と、人間はそもそも1回の説明で覚えられるほど賢くないという事実を理解してください。
講師をするくらいですから、あなた自身はあなたの専門分野に関しては、物覚えがいいのかもしれませんが、生徒さんはその限りではありません。
あなたも苦手分野を1度で覚える自信がありますか?
1回の丁寧な説明よりも、ちょっとラフでも繰り返し説明してあげるスタンスでいる方がよほど有益な授業になるでしょう。
また、宿題なども上手く活用する必要があります。
たかだか講師が教えるのは週に数時間程度。
受験生であれば、毎日10時間勉強している中でもたった数時間しかあなたには時間が与えられていないわけですから、1回の説明で覚えてもらうよりも、宿題などの独学・自習を通して生徒さん自信に覚えていってもらうつもりでいる方が建設的です。
ちなみに、勉強が本当に嫌いな生徒さんは冗談じゃなく30秒前に説明して、そのときは理解したことを確認したことさえ、本当に頭から抜け落ちます。
偏差値で言うと30を切るようなレベルの生徒さんがどの分野でもいらっしゃると思いますが、そんな生徒さんに授業をすることで、私たち自身も世界の広さを学んで、1回の説明では絶対にダメだなと心の底から納得できるものです。
まとめ
今回は授業内容よりも重要な「教え方」について解説しました。
1個でも2個でも参考になる部分があれば幸いです。
ぜひ参考にして授業改善していただければと思います。
それではまた、所長でした!
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