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その他

ベクトルの微分、積分

(※数式が見切れている場合は横スクロールしてください。)

この節は実は、高校数学の範囲では習わない内容です。これくらい習えばいいのに、っていうのがわたくし所長の考え方ですから、ベクトルの微分と積分はここで勉強することにします。今後もそういったことは割と頻繁にあるはずですので、覚悟しておいてください。とはいえ、順に読んでいっていただければ理解できる形にしています。

早速、本題です。ベクトルの微分積分は以下のように成分ごとに行うことができます。まず微分がこちらですね。

\begin{align}
\frac{d}{dt}\begin{pmatrix}2t\\t^2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\frac{d}{dt}2t\\\frac{d}{dt}t^2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2\\2t\end{pmatrix}
\end{align}

ベクトルに時間微分がかかっていて、それをベクトルの中に成分ごとに微分する形で組み込みました。

次は積分ですね。これもやはり同じで、成分ごとに積分してやればいいだけです。

\begin{align}
\int^t_0dt’\begin{pmatrix}2t’\\t’^2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\int^t_02t’dt’\\\int^t_0t’^2dt’\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}t^2\\\frac{1}{3}t^3\end{pmatrix}
\end{align}

(積分に関しては見栄えのために、インテグラル記号のすぐ後ろに積分変数と刻み幅を明示する\(dt‘\)が来ることもあるのでそこだけ注意です。)

それぞれ、微分操作と積分操作をベクトルの各成分ごとに行なっているだけなので、この段階ではそれほど難しいことはないですよね?もしマキノさんがこれが難しいと感じるようなら、微分と積分の基本が怪しいはずですので、前に戻って復習してください。

定義

次のような\(t\)を変数とするベクトルが与えられているとき、

\begin{align}
\vec{x}(t)=\begin{pmatrix}x_1(t)\\x_2(t)\end{pmatrix}
\end{align}

\(t\)についての微分や積分は次のように成分ごとに行う。

\begin{align}
\frac{d}{dt}\vec{x}(t)=\dot{\vec{x}}(t)=\begin{pmatrix}\dot{x_1}(t)\\\dot{x_2}(t)\end{pmatrix}
\end{align}

\begin{align}
\int^{t_2}_{t_1}dt’\vec{x}(t’)=\begin{pmatrix}\int^{t_2}_{t_1}dt’x_1(t)\\\int^{t_2}_{t_1}dt’x_2(t)\end{pmatrix}
\end{align}

ではいつも通り、少し問題を解いて慣れておきましょう。

問題

1.

\begin{align}
\vec{x}(t)=\begin{pmatrix}At^2\\Bt\end{pmatrix}
\end{align}

のとき、

\begin{align}
\dot{\vec{x}}(t),\quad\ddot{\vec{x}}(t)
\end{align}

を求めよ。

2.

加速度が以下のベクトルで表されるときに、速度ベクトルと位置ベクトルを求めよ。(1次元のときと同様に積分すればよい。)

\begin{align}
\vec{a}(t)=\begin{pmatrix}A\\0\end{pmatrix}
\end{align}

ただし、初期条件は以下のものを使え。

\begin{align}
\begin{cases}
\vec{v}(0)=\begin{pmatrix}v_1\\v_2\end{pmatrix}\\
\vec{x}(0)=\begin{pmatrix}x_1\\x_2\end{pmatrix}
\end{cases}
\end{align}

解答

1.
微分するだけなので、答えだけを書いておきますね。

\begin{align}
&\dot{\vec{x}}(t)=\begin{pmatrix}\frac{d}{dt}At^2\\\frac{d}{dt}Bt\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2At\\B\end{pmatrix}\\
&\ddot{\vec{x}}(t)=\begin{pmatrix}\frac{d}{dt}2At\\\frac{d}{dt}B\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2A\\0\end{pmatrix}
\end{align}

2.
こちらもただただ積分するだけです。積分の練習だと思って計算してみてください。

\begin{align}
\vec{v}(t)=&\int^t_0dt’\vec{a}(t’)+\vec{v}(0)\\
=&\begin{pmatrix}At\\0\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}v_1\\v_2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}At+v_1\\v_2\end{pmatrix}\\
\vec{x}(t)=&\int^t_0dt’\vec{v}(t’)+\vec{x}(0)\\
=&\begin{pmatrix}\frac{1}{2}At^2+v_1t\\v_2t\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}x_1\\x_2\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\frac{1}{2}At^2+v_1t+x_1\\v_2t+x_2\end{pmatrix}\\
\end{align}

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