(※数式が見切れている場合は横スクロールしてください。)
質量\(m_1\)の質点1と質量\(m_2\)の質点2を用意します。簡単のために1次元上をこの質点1と質点2が運動している状況を考えます。
重心運動のエネルギーを計算すると以下のようになります。
\begin{align}
K_G=&\frac{1}{2}(m_1+m_2)v_G^2\\
=&\frac{1}{2}(m_1+m_2)\frac{(m_1v_1+m_2v_2)^2}{(m_1+m_2)^2}\\
=&\frac{1}{2}\frac{(m_1v_1+m_2v_2)^2}{m_1+m_2}
\end{align}
K_G=&\frac{1}{2}(m_1+m_2)v_G^2\\
=&\frac{1}{2}(m_1+m_2)\frac{(m_1v_1+m_2v_2)^2}{(m_1+m_2)^2}\\
=&\frac{1}{2}\frac{(m_1v_1+m_2v_2)^2}{m_1+m_2}
\end{align}
全エネルギーに対して、この重心運動のエネルギーを引き算したものが、相対運動のエネルギーです。
\begin{align}
K_R=&K-K_G\\
=&\frac{1}{2}m_1v_1^2+\frac{1}{2}m_2v_2^2-\frac{1}{2}\frac{m_1^2}{m_1+m_2}v_1^2-\frac{2m_1m_2v_1v_2}{2(m_1+m_2)}-\frac{1}{2}\frac{m_2^2}{m_1+m_2}v_2^2\\
=&\frac{1}{2}\frac{m_1m_2}{m_1+m_2}(v_1-v_2)^2
\end{align}
K_R=&K-K_G\\
=&\frac{1}{2}m_1v_1^2+\frac{1}{2}m_2v_2^2-\frac{1}{2}\frac{m_1^2}{m_1+m_2}v_1^2-\frac{2m_1m_2v_1v_2}{2(m_1+m_2)}-\frac{1}{2}\frac{m_2^2}{m_1+m_2}v_2^2\\
=&\frac{1}{2}\frac{m_1m_2}{m_1+m_2}(v_1-v_2)^2
\end{align}
この最後の結果を以下の\(\mu\)を使って書きなおします。
\begin{align}
\mu=\frac{m_1m_2}{m_1+m_2}
\end{align}
\mu=\frac{m_1m_2}{m_1+m_2}
\end{align}
この\(\mu\)を換算質量と言います。
これを使うと全エネルギーを以下のように重心運動のエネルギーと相対運動のエネルギーで表現できます。
\begin{align}
K=&K_G+K_R\\
=&\frac{1}{2}(m_1+m_2)v_G^2+\frac{1}{2}\mu(v_1-v_2)^2
\end{align}
K=&K_G+K_R\\
=&\frac{1}{2}(m_1+m_2)v_G^2+\frac{1}{2}\mu(v_1-v_2)^2
\end{align}
ちなみにこの質点1と質点2が衝突するとき、この相対運動のエネルギーだけが変化することを見ておきましょう。
まず、運動量が保存する衝突に関しては重心の速度\(v_G\)は変わりません。
一方で、相対速度ははね返り定数倍されることを以前解説しています。
\begin{align}
&(v_1-v_2)^2\to e^2(v_1-v_2)^2\\
\Longleftrightarrow
&K_R\to e^2K_R
\end{align}
&(v_1-v_2)^2\to e^2(v_1-v_2)^2\\
\Longleftrightarrow
&K_R\to e^2K_R
\end{align}
という風に衝突の前後で変化するわけです。これを知っていると、弾性衝突のときには、このはね返り定数\(e\)は\(1\)なので、運動量だけでなく、運動エネルギーが保存するということがただちに言えます。
関連リンク
>>YouTubeで使用可能な数学と物理の参考書「アラサー高校物理」
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