ども、所長です!
今回は浪人生のための数学の参考書を紹介します。
東大卒のベテラン塾講師が「今、浪人をするなら、どんな勉強をするか」という前提で書きました。自分の浪人経験と、過去の生徒指導経験をフルに活かして書きましたので、ぜひ参考にしてみてください。
浪人生と言っても、レベルの幅は広いので、この記事では5段階に分けて紹介します。
- レベル1.センター試験、共通テスト60%未満の人→センター試験、共通テスト80%
- レベル2.センター試験、共通テスト80%→GMARCH、関関同立合格レベル
- レベル3.GMARCH、関関同立合格レベル→早慶・旧帝大合格レベル(東大京大除く)
- レベル4.早慶・旧帝大合格レベル(東大京大除く)→東大、京大、東工大合格レベル
- レベル5.東大、京大、東工大合格レベル→東大、京大、東工大高得点レベル
さらに参考書の紹介を1通り終えた後には、勉強法まで詳細に紹介します。
浪人生ならではの注意点も書きましたので、最後までご覧ください。
目次
レベル1:センター試験、共通テスト60%未満→センター試験、共通テスト80%
このレベルの人はまずは基本が全くできていません。共通テストで80%くらいなら基礎が出来ていれば、誰でも到達可能なレベルです。
数学に関しては、自分のことを浪人生だと思わず、現役生のつもりで周りの浪人生を追い越していくべく勉強していきましょう。
やるべきことは基本の徹底です。
手順としては、
- 講義系参考書 or 映像授業
- 問題演習
超基本的な部分に関しては、「講義系参考書」か「映像授業」を使うといいでしょう。
講義系参考書を使うのであれば、マセマシリーズがおすすめです。
「スバラシク面白いと評判の初めから始める数学」
「スバラシク強くなると評判の元気が出る数学」
「スバラシクよくわかると評判の合格!数学」
は全て終わらせたいところです。
映像授業であれば、「スタディサプリ」がおすすめです。
>>【スタディサプリ】動画授業で苦手を克服
2021年現在の講座名で言うと、以下の講座は全て終わらせたい所ですね。
- 高3 スタンダードレベル数学IAIIB<単元別学習編>
- 高3 スタンダードレベル数学IAIIB<総合問題編>
- 高3 スタンダードレベル数学III
- 高3 ハイレベル数学IAIIB<単元別学習編>
- 高3 ハイレベル数学IAIIB<総合問題編>
- 高3 ハイレベル数学III
もちろんこれ以外の参考書や映像授業を使っても大丈夫です。
他の参考書も検討する場合は、ちょっと大変かもしれませんが、最低でも他のサイトを10サイトくらいは調べてから決めるようにしてくださいね。
1つのサイトの言っていることを鵜呑みにしすぎないように。(もちろんこのサイトの含めてです。)
問題演習に関しては、
- 「青チャート」の例題+練習問題
- 「入門問題精講」+「基礎問題精講」
の2択のうちどちらかがおすすめです。
映像授業もしくは講義系参考書に関しては、2周ずつ一気に駆け抜けてしまいましょう。
問題演習に関しては、後述する勉強法も参考に、1周目は全て解いて、その後は間違った問題だけを3周から4周くらい繰り返していけば、OKです。
ここまで全て出来れば共通テストレベルであれば、かなり楽に解けるようになっているはずです。
このレベルがクリアできているかどうかを調べるためには、1A2Bに関しては「センターの2015以降の過去問」を2年分くらい解いてみましょう。
この段階では、時間無制限でOKです。80%くらいは取れるようになっているはず。
80%取れないのであれば、センター過去問でさらに演習をしてみましょう。
手順は次の通りです。
- 時間無制限で解く
- 正解している問題も含めて解説を読む
- 解説を閉じて解けていなかった問題を解きなおす
これを4年分~5年分×2周ずつやってみて、2周目に80%を超えてきたらそれで次のレベルに進んでOKです。
数学3に関しては、ちゃんと問題演習まで出来ているならテストしなくてOKです。
現状、適度な参考書がなかなかないので。。。もし新しく丁度いい参考書が出たら紹介します。
GMARCHや関関同立よりも少し偏差値低めの大学を目指している場合は、ここから過去問でOKです。
過去問に関しては、5~10回分くらいを中古の赤本なども含めて準備して、それぞれ2周ずつくらい解いては解説を丁寧に読んで、解きなおして、を繰り返しましょう。
ちなみに2014以前のものは少し指導要領が違うので、注意が必要です。
過去問の進め方に関しては詳しく後述します。
合格最低点を安定して超えられないようなら、近い偏差値の大学の過去問も効果的です。
数学は大学が変わっても大きく傾向が変わらないので、使いまわしもしやすいはずです。
レベル2:センター試験、共通テスト80%→GMARCH、関関同立合格レベル
このレベルの人は講義系参考書とか映像授業は使わなくてOKです。
よくあるのは「基本」を意識しすぎて足踏み期間が長くなってしまうパターンなので、その失敗をしないようにしましょう。
基本を完璧にしようとして前に進まないくらいなら、応用問題を解きつつ、基本の抜けを探しにかかる方が速いというのだけは絶対に忘れてはいけません。
とにかく問題演習を繰り返しましょう。
参考書としては
- 「青チャート」レベル4&5の例題+練習問題、章末、総合問題
- 「標準問題精講」すべて
- 「1対1対応の演習」すべて
どれかを丁寧にやりこめば十分です。参考書の進め方としては、後述します。
こちらも参考にしてください。
>>おすすめの数学参考書・問題集「青チャート、1対1、標準問題精講」 比較レビュー
何周か繰り返して、それぞれ9割くらい自力で解ける状態を作れば、GMARCHや関関同立レベルの問題なら8割~9割くらいまでは目指せるはず。
ある程度解ける状態になったら、過去問をバンバン進めるようにしましょう。
GMARCHや関関同立レベルは中古の過去問も割と入手しやすいと思いますので、出来れば10回分はそろえて、演習してみましょう。
ちなみに2014以前のものは少し指導要領が違うので、注意が必要です。
もし10回分そろえるのが難しそうなら、近い偏差値の他の大学のものを使ってもOKです。
レベル3:GMARCH、関関同立合格レベル→早慶・旧帝大合格レベル(東大京大除く)
このレベルの人は最初から過去問をメインで勉強していっても良いのですが、最初から過去問を始めると1年間は長く感じるかもしれないですね。
その場合は、以下の参考書がおすすめです。
- 「上級問題精講」
- 「スタンダード演習」
- 「やさしい理系数学」
どれか1冊(or 1シリーズ)を選んで、2周から3周やりこむのがいいかなと。
試しに買ってみて、自力で解ける問題が3割を切っていたら、GMARCH、関関同立合格レベルに達していない可能性もあるので、その場合はレベル2に戻って勉強するのがおすすめです。
どの参考書を選んだ場合も、9割ほど自力で解ける状態を作っておけば、早慶や旧帝大の中でも東大や京大を除いた大学の過去問で7割~8割は狙える状態になるはずです。
もちろん、過去問で初めて出会う問題に対しての対応力を養っていく必要はありますので、過去問演習も大事です。
早慶や、旧帝大レベルになってくると数10年分の過去問入手も難しくないですし(中古で簡単に入手できます)、
最悪、そのあたりのレベルの大学を選んで演習すれば他の大学の過去問でも十分練習になりますので、30年分の過去問演習を目標にするといいでしょう。
浪人生は時間があるせいで、ここで紹介したものよりも、さらに難しい参考書に手を出したくなるのですが、それよりは過去問に時間を使った方が得点が伸びます。
あるいは他の科目に時間を使うのもありですね。
レベル4:早慶・旧帝大合格レベル(東大京大除く)→東大、京大、東工大合格レベル
このレベルの人は基本的に過去問だけをしておけばOKです。
浪人生の場合は滑り止めも考えないといけないので、滑り止めの大学を10年分くらい満点を取れる状態にして、以降は志望校の過去問をやりこみましょう。
東大でも京大でも東工大でも、はたまた国立医学部でも20年分は最低でも満点を取れる状態にしておきたい所です。
中古の過去問を入手しましょう。
例えば、「滑り止め2校×10年分と、志望校1校×20年分の合計40年分を2回ずつ進めるためには80回分」の演習をしなければなりません。
1年を80で割ると4~5日で1年分過去問をやらなければなりません。
余裕を持って進めるのであれば、3日で「過去問を解く日、復習する日、直しをする日」で回し続けるくらいがベストです。
過去問の勉強の仕方は後述します。
全ての科目で必要な点数が安定的に出せるようになった場合のみ、次のレベルに進みましょう。
レベル5:東大、京大、東工大合格レベル→東大、京大、東工大高得点レベル
東大や京大の医学部なんかを狙う場合には、とにかく過去問を繰り返すのがベストです。
まずは赤本の「27か年」シリーズを全て解ける状態にしましょう。
東大を受ける人は、京大のものも、
京大を受ける人は、東大のものも、
全てやりこんでおけば、正直8割くらいまでなら安定して出せるようになっていきます。
※記述が雑だと厳しいかもしれませんが、、、
現役のときにずいぶんやりこんでしまったので、やることがないという場合は
- 「新数学演習」
- 「ハイレベル理系数学」
あたりがおすすめです。
これもやってしまった場合は、
「入試数学の掌握」シリーズも試してみてもいいかもしれません。
これ以上のものはないので、ここまでクリアできたのであれば、あとは他の科目をしっかり勉強して、「数学で高得点を狙わなくても受かる」状態にしましょう。
特に理科や英語は、数学と比べても90%くらいを狙うなら狙いやすい科目なので、そちらに時間を使うのがおすすめです。
また国語の勉強をサボっている方が時々いますが、2次試験の国語もしっかり勉強すれば、8割くらいまでは安定して取れるようになる受験生は大勢いますので、そちらも視野にいれておきましょう。
浪人生のための数学勉強法
参考書の紹介は終わったので、次に勉強の仕方を説明していきます。
レベル1の人
レベル1の人は勉強法も自分で確立したものがないことが多いはずです。ぜひ参考にしてください。
まず映像授業や、講義系参考書は「ノートに要点をまとめる」ことのないように。
自分でまとめてしまうと、理解できた部分だけをまとめてしまいがち。効率がよくありません。
理解できていないことを吸収する気持ちを強くもってください。
板書などもメモ程度でOKです。
基本的には、解説された例題を参考書や講義の画面を閉じて、解答できるかを確認する作業を繰り返すつもりで進めるのがいいでしょう。
問題演習に関しては、以下の印をつけながら進むようにしてください。
◎:自力で解けた
〇:計算ミスなどの凡ミスはしたが、考え方は合っていた
△:解説を読んで理解した
✕:解説を読んでも分からなかった
完全に独学で進めているのであれば、✕になった分からない問題は時間をかけすぎず、パスしながら進めていくのが大事です。
2周目以降であれば、理解できることが多いので。2周目以降は◎以外を進めるのがベストです。
◎率が80%を超えるころには、さすがに✕の問題はなくなっているはず。◎と〇で90%くらいになったら、次の段階に進んでOKです。
完璧を目指しすぎてしまうとなかなか先に進めないものなので、全てを◎にすると意気込む必要はありません。
独学の勉強法はこちらに詳しく書いていますので、参考にしてみてください。
レベル2~5の人
レベル2以降の人はあまり参考書での学習にこだわりすぎないことが大事です。
過去問で何点取れるかが最も重要ということを忘れないようにしましょう。
浪人生になると時間があるので、何冊も参考書ができると思い込んでしまいがち。
実際のところ7月末くらい(現役生の夏休み)からは浪人生は過去問生活にシフトしていくのがベストです。
最終的に過去問をやりこみすぎてやることがなくなってしまってから、参考書に戻ってきてもOKなわけですから。
基本的には夏までに1シリーズ分、多くても2シリーズ分の参考書をしっかりやりこんで、あとは過去問という姿勢で臨みましょう。
参考書を進める際には以下の印をつけながら進むようにしましょう。
◎:自力で解けた
〇:計算ミスなどの凡ミスはしたが、考え方は合っていた
△:解説を読んで理解した
✕:解説を読んでも分からなかった
完全に独学で進めているのであれば、✕になった分からない問題は時間をかけすぎず、パスしながら進めていくのが大事です。
2周目以降であれば、理解できることが多いので。
2周目以降は◎以外を進めるのがベストです。
◎が80%を超えるころには、さすがに✕の問題はなくなっているはず。
◎と〇で90%くらいになったら、過去問へ進みましょう。
過去問の勉強法
どのレベルでも過去問演習はかなり重要な要素です。
特に浪人生は過去問をしっかり勉強することでモチベーションが保てます。
過去問演習に関しては、
- 時間通りに演習すること
- マークの時間はあらかじめ削っておくこと
- 記述が必須の大学は記述も時間内にすること
これだけを徹底しておけばいいでしょう。
分からなさ過ぎて時間が余ってしまう場合もあると思うので、そういった場合に少し早めに切り上げる分には大丈夫です。
マークや記述は意識しておきましょう。
マークにかかる時間は1問10秒程度と見積もって、制限時間からあらかじめ引き算しておくのがいいですね。
共通テストの過去問などは、マークシートも用意されているので、そちらは活用してください。
問題への書き込みと実際のマークがずれていないかなどの基本も忘れてはいけません。
記述がある大学に関しては、かなり丁寧に書くようにした方がいいでしょう。
採点をする側の気持ちになって、きれいな字で、「どこまで考えたのか」を丁寧に書きましょう。
計算ミスが多い人は、式の意味も考えて、「なぜこの計算をしているのか」が分かるように記述しましょう。
「式1と式2を連立して、tを消去することで、求めたい軌跡が出るので、式1-式2を計算すると、、、」
みたいなことをわざわざ書いていくくらいのつもりで丁度です。
解き終わったら、解答の読み込みです。
1周目は正解している問題も解説は全て読むのが良いでしょう。
2周目以降は不正解の問題だけで大丈夫です。
解説を読み終えて、理解して終わり、、、ではなく、解説を閉じて自分の手で解きなおしてみてください。
積分の問題なんかは、「解き方の流れは理解したけど、積分の具体的な計算でつまずく」といったパターンもそれなりにあるので、そういった「分かったつもり」をなくす意味があります。
レベル4と5の人に注意喚起
レベル4と5に属する人は、「出題の意図」とか「背景知識」とか、深い理解を求めにいきがちです。
そのような内容はある程度は受験に役に立つかもしれませんが、実際の所、入試の得点にはほとんど反映されないのが現実です。
大学に行けば、いくらでも学べるので、受験レベルを超える参考書や本に時間を使いすぎないようにしましょう。
※息抜き程度はOKです。
基本的に、過去問で全科目とも9割~満点を取れる状態になったら、だいぶ余裕なので、大学レベルの勉強も始めてみてもいいかもいいでしょう。
逆に言えば、そこまでは我慢して丁寧に過去問演習をしてください。
まとめ
参考書だけでなく、細かい注意点も踏まえて勉強してもらえればと思います。
特に浪人生は過去問の点数が全てを正当化してくれますので、とにかく合格最低点を余裕で超えられるだけの実力をつけてください。
そしたら、いくらでもサボってOKですし、いくらでも受験レベルを超える難しい内容を勉強してもOKです。
まずは過去問の点数です。
それではまた、所長でした!
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