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この節でやっと次の章へと進むための数学準備が終わります。お疲れ様ですマキノさん。
微分方程式とタイトルにいれましたが、1つだけの方程式を扱います。それほど難しくはないので、ちゃちゃっと勉強してしまいましょう。
ここで扱う微分方程式は以下のものです。
\frac{d^2}{dt^2}f(t)=-\omega^2f(t)
\end{align}
2回微分したら、定数が1つ出てきて、マイナス倍がついて元の形に戻るっていう感じですね。
ここで、出てくるのが三角関数です。例えば、以下の計算を眺めてみてください。
&\frac{d^2}{dt^2}\sin(\omega t+\theta)\\
=&\frac{d}{dt}\omega \cos(\omega t+\theta)\\
=&-\omega^2\sin(\omega t+\theta)
\end{align}
この\(\sin(\omega t+\theta)\)は最初に示した微分方程式を満たしてくれますよね。これをヒントに以降は考えていきます。
ちなみに微分方程式っていうのはまじめに考えるときにはちゃんと両辺を積分して、積分定数であったり、初期条件みたいな部分を注意するというのがセオリーです。
が、答えを知っているというのでも物理では十分だったりします。今回の2階の微分方程式は答えを知っているだけで十分です。最初の微分方程式は以下のような一般解が知られているので、それを一先ず覚えてください。
公式
\frac{d^2}{dt^2}f(t)=-\omega^2f(t)
\end{align}
の一般解は以下のものである。
f(t)=A\sin \omega t+B\cos\omega t
\end{align}
※もしくは\(f(t)=a\sin(\omega t+\theta)\)でもいいです。同じものを表します。
細かいことを言うと、積分を2回しなければいけないときには、積分定数を2つほど決めなければなりません。上の公式は\(A\)と\(B\)が積分定数です。
2つ初期条件を与えると、連立方程式が作れて、積分定数が決まってくれるというわけです。そして、これ以外に微分方程式を満たすものがないかと言うと、ないんです。微分方程式の一意性とかそういう話なんですけど、一旦忘れてしまいましょう。あとで真面目にやります。
ひとまずこの公式に慣れるのと、積分定数を決めるのに慣れるのが1番重要なので、以下の問題を解いてみましょう。
問題
以下の条件
f(0)=1\\
\dot{f}(0)=0
\end{cases}\end{align}
のもとで、以下の微分方程式を解け。
\ddot{f}(t)=-\omega^2f(t)
\end{align}
解答
微分方程式の答えの形は公式を与えられていて知っているんですけど、これが本当に微分方程式を満たすのかはまだ見ていなかったので、一応計算しておきますね。
f(t)=A\sin\omega t+B\cos\omega t
\end{align}
を2回微分してみましょう。1回微分すると以下の形になります。
\dot{f}(t)=\omega(A\cos\omega t-B\sin \omega t)
\end{align}
もう1回微分すると、
\ddot{f}(t)=&-\omega^2(A\sin\omega t+B\cos\omega t)\\
=&-\omega^2 f(t)
\end{align}
となって、実際に\(f(t)\)が微分方程式を満たす形であることがわかります。今度は積分定数を決めていきます。積分定数を決めるためには、初期条件を使います。
f(0)=&A\sin 0+B\cos 0\\
=&B=1
\end{align}
もっと難しい初期条件が与えられた場合には、こんなに簡単に決まらないのですが、ひとまずこれで1つ決まりました。
\dot{f}(0)=&\omega(A\cos 0-B\sin 0)\\
=&\omega A=0\\
\Longleftrightarrow A=0
\end{align}
これで2つ目の定数も決まりましたので、解けたことになります。答えは以下のものです。
f(t)=\cos\omega t
\end{align}
これで次の力学の章へ進む準備が整いました。随分長くなってしまいました。出来るだけ最短で進められていると思ってはいますが、数学の章も力学以外で使うものが多いのでしっかり理解していることを確認しつつ進めてくださいね。
関連リンク
>>YouTubeで使用可能な数学と物理の参考書「アラサー高校物理」