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今回から熱力学の勉強に移っていきます。
力学の勉強はどうでしたか?力学で勉強したことも少し出てきます。
マキノさんがまだ力学の章で勉強したことに不安があるのであれば、焦って前に進まずに力学の章の2周目の勉強をすることをお勧めします。
特に数学の各節に関しては、一度解説したものは知っているものとして扱いますから、ぜひ、習得済みの状態で次に進むつもりでいてください。
熱力学の最初として、物質の3態を扱っていきましょう。
中学レベルの理科でも物質の3態については扱っていて、「固体」「液体」「気体」の3つがあることはご存知だと思います。
それぞれの違いを「圧縮性」「流動性」「表面」という3つの観点から整理してみましょう。
まず、固体です。固体は次の図のように格子を組んでいることが多く、各分子が安定的な点の周りを振動している状態です。
基本的にはどのような物体も冷やしていけば、固体状態にすることができます。
※ただし、日常的な温度以上に冷やす必要があるものも多い
例えば、金属のかたまりをイメージしてみましょう。
これに大きな圧力をかけても、ほとんど圧縮することはありません。
それは、各分子が格子を組んでいて、格子の変形程度しか移動が許されないからです。
また、この状態だと、各分子の流動性もありません。
金属のかたまりは表面というものが存在しています。表面があるというのは何かに閉じ込めておかなくても形が変わらないという意味です。
次に液体です。
液体は次の図のように各分子の位置に規則性はなく各分子の方向も基本的にはバラバラです。
袋などに水を入れて、それに全体的にギュッと圧力をかけても、ほとんど体積は変化しません。
すなわち、液体も圧縮性はありません。
しかし、各分子はバラバラに動くことができますので、流動性はあります。
袋などに入れなくても、液体には表面があります。
放っておいても、形は存在しますし、なくなったりもしません。
最後は気体です。
液体と気体は分子が見えるような高性能なカメラを借りに持ってきて、写真を撮ってみると、(密度を除くと)区別することはできません。
液体と同様に各分子の位置はランダムで、速度もランダムです。
ただし、速度は液体よりもかなり早い状態で、運動エネルギーが大きいので、各分子間に働く引力(分子間力)を超えるだけの速度を持っています。
分子間力はあとで解説しますが、引力によるポテンシャルエネルギーと、運動エネルギーの比較というのは、惑星の運動の所で少し説明しました。
あの解説を思い出していただくと、引力を超えるだけの速度があれば、束縛状態を脱することができるという話でした。
気体は、それだけの速度を持っていますから表面はありません。
容器に入れずに放っておくと、どこかに行ってしまいます。
すなわち表面はありません。
容器に入れて、圧力をかけると体積は容易に変化させることが出来ます。
すなわち圧縮性があります。
流動性があるのは袋に入れた気体の形が変形可能なことから容易にイメージできるはずです。
ここまでをまとめると、
固体は圧縮性がなく、流動性もなく、表面があり、
液体は圧縮性がなく、流動性はあり、表面があり、
気体は圧縮性があり、流動性があり、表面がありません。
関連リンク
>>YouTubeで使用可能な数学と物理の参考書「アラサー高校物理」