こちらは【教え方の教科書】の中の1記事になっています。
今回は宿題はどのように考えて設定していくべきかについて詳しく説明しています。
宿題は「これを次回までに解いておいて」だけでは全く持ってダメです。生徒さんの成績を本気で上げたいと思うのであれば、様々なことを意識して宿題を設定しなければなりません。
以下詳しく解説していきます。
目次
宿題の設定で意識するポイントは4つ!!!
宿題は授業の何倍も何十倍も重要です。
なぜなら授業は週にたかだか数時間なのに対して自習の時間は毎日10時間以上というのが大学受験生の基本的な勉強の時間の使い方だからです。
自習の質が上がるように宿題は設定しなければなりませんし、それができないようでは生徒さんの成績は授業時間分しか上がっていきません。それでは志望校合格は絶望的という生徒さんも多いでしょう。
そんな授業よりも重要な宿題を設定する上で意識すべきことは以下の4つです。
- 宿題の目的・ペースがハッキリしているか
- 量が十分か
- 進め方を揚げ足を取られないように指定したか
- 管理を出来ているか
それぞれの項目について詳しく説明していきます。
宿題の目的・ペースがハッキリしているか
改めて宿題の目的とは??
宿題の目的を言葉として書き起こすとは主に以下の3つになります。
- 授業で解説したものを定着させること
- 理解できていない部分の穴を見つけること
- 覚えるべきことを覚えさせること
それぞれ細かく解説しなくてもご理解頂けるとは思いますが、ほとんどの新人講師はただ漫然と授業をして、授業をした部分の宿題を出しています。
要するに最初の1つだけしか意識せずに宿題を設定しているということですね。
目的意識の低い授業は得られる結果も小さいですので、今回は何を持って帰ってもらうのかは常に意識して授業し、それに対応する宿題を先に準備しておきましょう。
また授業に関連するものだけを管理しているようでは不十分です。
テストや模試などがあるときだけ、理解の穴を探しているようでは不十分ですから、普段から穴がないかをチェックし、穴を塞いでいきましょう。
例えば、英語の長文を授業で扱っているとしても英語の文法に穴がないか並行して宿題に取り組んでもらって、穴を見つけた場合には、授業の中に文法の解説も織り込んでいくといった具合ですね。
さらに暗記事項ですが、「覚えておいてね」で覚えられるようだったら、学校のテストは毎回満点を取れます。
満点を取れていない時点で覚えるべきものを覚えられていないわけですから、なぜ覚えられていないのか、なぜ覚えようとしていないのか分析して宿題という形で明示してあげましょう。
英単語なんかは分かりやすい例ですが、覚えるべきことを覚えてもらうためにやるべきことをやっているか考え直してみてください。もし生徒さんの成績が上がっていないのであればやるべきことを十分に行っていない可能性が高いです。
記事後半に詳しく書いていますので、最後までご覧ください。
宿題のペースは意識しているか??
次にペースです。授業も合格から逆算したペース作りをするのですから、宿題も合格から逆算したペースになるべきです。
今のペースで進めていて、志望校合格には間に合うでしょうか?生徒さんのキャパシティだけから判断して毎週の宿題の量を決めていないでしょうか?
このように聞かれるとドキッとされる新人講師は多いはずです。
生徒さんを合格させるためにお金をいただいているわけですから、受からないペースで宿題を課していても意味がありません。
合格のためなら生徒さんのキャパシティそのものを増やす必要もあるわけですから、それも指導の一部だと考えてください。
もし必要な勉強量が確保できていないならそれは講師側の宿題です。生徒さんの勉強量を増やすためにはどうすればいいか考え直してみましょう。
量が十分か
量が不十分の宿題は本当に時間の無駄です。
例えば小学生に漢字を1回ずつ書きましょう、といっても覚えられないだけですから、ただ1回書くだけの時間を無駄にするだけでしょう。
漢字ならこのことに気づくのに数学や物理になるとこのことを忘れてしまいます。
微分や積分の簡単な計算だって九九を覚えるときと同じくらいには練習しないと頭には残りません。
講師の皆さんの頭に残っているのは結果的にかなりの数の問題を解いているからです。
最初から今と同じスピードで同じ精度で計算ができていたわけではないことに注意しましょう。
生徒さんに覚えてもらいたいこと、身に付けてもらいたいことは量も意識する必要があります。
また講師と比べると生徒さんはもともと持っている知識量が違います。知識量が違えば、新しいことを覚えるときに整理して覚えたり、知識にリンクさせて覚えることができないですから、講師の皆さんよりは定着に時間が掛かります。
倍以上の時間をかけてようやく身に付くということも本当によくありますから、どれくらいの量を出せば、担当している生徒さんの身に付くのか、全ての科目である程度把握しておくべきだということも忘れないでください。
進め方を揚げ足を取られないように指定したか
宿題の進め方は徹底的に指定する必要があります。進め方を指定できていない宿題にも何の意味もありません。それで勉強できるのであれば、学校の授業だけで十分です。「テスト勉強」と宿題に出しておけば100点を取れる生徒さんということですからね。
- 何分で1つ進めるのか
- 1週間で何ページor何問進めるのか
- そのための1日の目安は何ページか
- 解説を読む時間はどれくらいで切り上げるか
- 分からない単語や計算の処理の方法はどうするか
上記のような内容を意識して宿題の進め方を指定してあげてください。
伝達方法も重要です。揚げ足を取られない形にしなければなりません。
口頭で伝えているのでは、どうやってやるのか忘れてしまって宿題ができませんでした、などという言い訳が成り立ってしまいます。
言い訳ができる状態を作っておくと人間は甘くなってしまいます。講師の宿題の指定が悪いために言い訳ができるというのは言語道断です。
それでなくても「部活が忙しい」とか「家では集中できない」とか問題はごろごろ出てきます。自分で自分の首を絞めるような宿題の指定をしないようにしたいですね。
ですから基本的には、形が残るように全ての情報を盛り込んでください。紙に書くならこちらにもコピーを残しておきましょう。
出来れば保護者の方も見ることが出来る状態が好ましいです。保護者の方も味方につけておくと心強いですので。
管理を出来ているか
宿題は出して終わりではありません。
毎週毎週嫌と言うほどチェックして管理しましょう。
特に、授業では扱っていないけど、生徒さんの独学で進めている課題についてはかなり強くペース管理していく必要があります。
単語帳とか、文法問題集の2周目とかはしばらく放置しておくと確実に宿題として機能しなくなっています。
必ず毎週チェックして、ペース通り進むように管理してください。
毎週チェックされることが生徒さんにとってのモチベーションになりますから、講師の手でそのモチベーションを奪ってはなりません。
まとめ
今回は宿題はどのように考えて設定していくべきかについて解説しました。
- 宿題の目的・ペースがハッキリしているか
- 量が十分か
- 進め方を揚げ足を取られないように指定したか
- 管理を出来ているか
これらが非常に重要になります。
以下の記事に続きもまとめてありますので、ぜひ他の記事もご覧ください。