ども、所長です!
今回はタイトル通り、4種類の大学受験用の物理の参考書の特徴を比較していこうと思います。
次のような方には非常に役に立つ記事になっているはずです。
- 基本的な問題は他の参考書で解けるようになりました
- 過去問の前に難しい問題集も挑戦しておいた方がいいと聞きました
- どの問題集を使って良いのか分かりません(←ここ)
目次
この記事の著者
この記事を書いている私は東大出身のベテラン塾講師でして、専門は物理です。
どの参考書も指導のために使ったり、自分で解いたりしているため、この参考書の特徴を比較する記事を書きました。
最近はYouTubeに物理の解説動画をアップしているので興味のある方はご覧ください。
そもそもどの段階の人が使うべき参考書か
まず、最初に申し上げたいのは、今回挙げる4種類の参考書は高校の物理の参考書の中でも比較的、難しい部類に入るということです。
特に「標準問題精講」と「難問題の系統とその解き方」に関しては、大学受験用の参考書の中でも最難関と言って良いと思います。
ですから、次の2つに当てはまる方以外は解いても時間の無駄になる可能性が高いということを最初に断わっておきます。
- 旧帝大、東工大、早慶レベル以上の大学を受験することが決まっている。
(MARCHと東京理科、上智は過去問演習の量次第では必要ない) - セミナー等の学校採用系の問題集と同等のレベルのもので基本問題の解き方は身に付けた。
※ただし例外的に難易度の高い授業を高校で行っていて、かつ教員独自の教材を使っている場合は除く(ごくごく少数派だと思いますが)
なので、これをクリアしていて、次にどれを使おうか迷っているという方だけ続きを読んでいただければと思います。
重要問題集(重問)の長所と短所
重要問題集は4種類の中で最も楽に終わらせることができる問題集です。
※もちろん楽とはいえ、「相対的に」楽なだけです。
特徴としては次のようなものになります。
長所
- 過去問が収録されていて毎年少しずつ問題が更新される(新しい傾向のものを解ける)
- 過去問によって構成されているので長めのリード文に慣れることができる
- 解答が別冊になっている
短所
- 周回しようと思ったときに長めのリード文のせいで時間が短縮されにくい
重要問題集は過去問が分野別に並べられた構造になっていますので、それが最も大きな特徴です。
そのため、リード文(問題文)は必然的に本番で出されるものと同じくらいには長いものになっています。
特に難しい問題に関しては問題文も長いわけですが、難しい問題ほど2周目3周目に解きなおす可能性が高いので、何度も長い文章を読まされる可能性は高くなります。
ですから比較的、周回数に応じて短時間化されにくいタイプの問題集と言えます。
また、問題自体は毎年、少しずつながら新しい問題に更新されていきますから、最新の傾向にあった問題にチャレンジできるのは非常に大きな魅力の一つです。
別冊解答になっていることも重要な点で、別冊になっていないタイプのものは問題と解説を同時に見られないせいで無駄にページをめくる必要が出てきます。
ページをめくるという少しの時間も積み重ねればなかなかの時間になりますし、ストレスも少し感じますから、気になる方は多いかもしれません。
解説も最近はかなり分かりやすいものになっていて、重要問題集の解説を読んでも理解できないものが多いという方は正直、前段階のレベルのものをもう一度やり直すべきだと思います。
名問の森(名問)の長所と短所(名門の森ではなく名問の森です)
名問の森に関しては4種類の中では最も周回する回数を稼ぎやすい問題集です。
特徴としては次のようなものになります。
長所
- リード文が短いものが多いので周回を重ねるごとに短時間化される
- 暗記すべき内容がわかりやすい
短所
- 別冊解答ではないので、問題文と解説を同時に見ることが出来ない場合がある
- リード文が短いものが多いので1周目は問題の意味するところが分からないことがある
- 問題自体が少し古いものが多い
名問の森の一番の特徴は周回するごとに短時間化されるということです。
短時間化されやすいように構成しているとしか思えないような構成になっています。
ですからもはや単語帳と同様のノリで勉強している方は全国に割と大勢いらっしゃいます。
私自身も浪人時代に使っていて、その時は5周とか6周くらいしてほとんどすべての問題を覚えていたように思います。
なぜ短時間化されるかというと、短い問題文に特徴がありまして、必要最低限の説明しかないような問題ばかりが採用されているためです。
生徒さんに指導するときには「問題の意味するところが分からなかった」という方もそこそこいらっしゃって、適切なレベルの人しか使えないものだと思います。
また別冊の解答になっているわけではないので、問題文と解説がページをまたぎながらでないと見られないことがあって、それがときどきストレスになります。
ただ、周回すれば、解説として見るべきところも減ってきますから、周回するごとに問題点としては薄れていきます。
載っている問題は割と古いものが多いです。もはや出典を探すのが難しいくらいに古い過去問なんかも平気で載っていますから、最新の傾向をとらえたいという方にはイマイチかもしれません。
が、物理に関しては、英語なんかと違って古い問題でもそれほど大きなデメリットにはならないかなと思います。
重問よりは少しだけ難易度が高いです。(簡単な問題が少ないという方が正しいかも)
標準問題精講(標問)の長所と短所
標準問題精講は問題数が少ないですが、一つ一つが難問です。
主な特徴は以下のようになります。
長所
- 問題数が少ないので、過去問演習前ギリギリの期間でも間に合う可能性が高い
- 難易度が高いものが選択的に集まっている
- 別冊解答で見やすい
短所
- 難問ばかりなので、使う人を選ぶ
- 問題数が少ないので網羅性は高くない
標問の一番のポイントは少ない問題数でそれぞれが難問であるということです。
簡単な問題をできるだけそぎ落とした結果、難しいものだけ集まったという感じですね。
名問とか重問の難しい問題のレベルのものだけを集めて1冊作りました、といった感じです。
ですから、生徒に指導するときには、「名問が終わって、過去問演習までにはまだ少し時間があるから、標問もやっておこうか」みたいなときにしか使いません。
しかもそれをやるのは東大、東工大、京大、くらいしかないのかなと思います。
簡単なものをそぎ落としているので、網羅性はそれほど高くなく、使う人のレベルさえあって入れば、割と短時間で終わります。
レベルが合っていないと無駄に時間を使いまくる可能性は高いので注意が必要です。
※ちなみに数学の標問はここに書いてある特徴が全く当てはまりません。
難問題の系統とその解き方(難系orナンケイ)の長所と短所
難系に関しては、4種類の中で最も網羅性が高いです。
主な特徴は以下の通りです。
長所
- 網羅性が非常に高い
短所
- 解説が簡潔すぎる
- 網羅性が高くて時間がかかる
- 問題が古い
とにかく網羅性が高くて、解説がほぼないということが一番の特徴です。
昔からある参考書ですから、昔風の構成になっているわけです。
今どき、少し網羅性を下げてでも解説を丁寧に作る参考書が増えていますから、時代と逆行した参考書ですね。
4種類の中では最も実力が付く参考書だとは思います。それはそこそこ難しい問題を幅広く集めているからです。
過去問を解く時期になればこの問題集に大抵の類題が載っているので、その意味でも安心感はありますね。
私がYouTubeのネタを探すのは「エクセル」と「難系」に頼っている所が大きいです。
一方で、かなり解答が簡潔でレベルの合っていない人が使うと標問以上に絶望します。
教えてくれる人がいて、かなり早い時期(高3の頭くらい)から旧帝大の過去問レベルの演習も可能な方にはおすすめです。
受験指導の現実的な観点から言えば、難系を扱うよりも、重問と標問を両方扱う方が多少到達点は低くなろうとも無難なのかなという気がします。他の科目の勉強もバランスよくしなければならないので。。。
ちなみに問題はかなり古く、出典を探すだけでもかなり苦労します。そのせいか若干、図も古くて解像度が低い所もあります。
まとめ
まとめると次のようになります。
重問
- 過去問が収録されていて毎年少しずつ問題が更新される(新しい傾向のものを解ける)
- 過去問によって構成されているので長めのリード文に慣れることができる
- 解答が別冊になっている
- 周回しようと思ったときに長めのリード文のせいで時間が短縮されにくい
名問
- リード文が短いものが多いので周回を重ねるごとに短時間化される
- 暗記すべき内容がわかりやすい
- 別冊解答ではないので、問題文と解説を同時に見ることが出来ない場合がある
- リード文が短いものが多いので1周目は問題の意味するところが分からないことがある
- 問題自体が少し古いものが多い
標問
- 問題数が少ないので、過去問演習前ギリギリの期間でも間に合う可能性が高い
- 難易度が高いものが選択的に集まっている
- 別冊解答で見やすい
- 難問ばかりなので、使う人を選ぶ
- 問題数が少ないので網羅性は高くない
難系
- 網羅性が非常に高い
- 解説が簡潔すぎる
- 網羅性が高くて時間がかかる
- 問題が古い
あとは使用時期(受験までの残り時間)なんかを意識しつつご自身で使うものを選んでいただければと思います。
今回はこのへんで。
それではまた、所長でした!