ども、所長です!
この記事では以下のような内容を本気でまとめています。
- 合格に必要な点を取るためには何をどういった順で勉強すればいいの?
- 東工大の物理の出題傾向は?
- 微積物理って必要?
目次
この記事の著者
この記事を書いている私は東大出身のベテラン塾講師です。
これまでに東工大や京大をはじめとする難関大合格者を指導する機会も多くありましたので、その経験をもとにこちらの記事を書いています。
最近はYouTubeにも私の専門分野の物理の動画も上げていますので、興味があればぜひご覧ください。
東工大の物理とは
東工大の入試を簡単にまとめておくと次のようになっているということはこちらの記事をお読みになっている方でしたら、誰でも知っていることなので、サラッと復習しておきましょう。
- センターは950点中、600点取ればOK(共通テストも同様の扱いと考えられる)
- 数学300点、英物化は各150点のうち400点あたりが合格最低ライン
こういった事情を考えると、基本的には数学の重要度がものすごく高く、続いて2次試験の英語、物理、化学の点数が重要になってくるわけですね。
基本的には750満点中の6割である450点あたりを狙ってくる受験生が多いと思っておきましょう。
物理の戦略

東工大に関しては数学のウエイトがかなり大きいので数学が得意な方とそうではない方で取るべき戦略が大きく変わってきます。
例えば、数学で半分しか取れない人と、数学で8割取れる人を比較してみましょう。
数学で半分しか取れない人は
- 数学で150点
- 英語、物理、化学は100点ずつ(7割5分)
を狙う必要がありますし、
数学で8割取れる人は
- 数学で240点
- 英語、物理、化学は70点ずつ(47%)
を狙う形になります。
ですから、今回は大まかに以下の2つの場合に分けて物理の対策を考えていこうと思います。
- 物理で80点を狙う場合(パターン1)
- 物理で100点以上を狙う場合(パターン2)
この2つのパターンを網羅しておけば、目標点数が違う方でもある程度目安になるとは思いますから、ぜひ参考にしてみてください。
物理で80点を狙う場合(パターン1)
80点を狙う場合はおよそ次のような流れになります。
- セミナーなどを通して基本の問題を解けるようになる(高3春休みまで)
- 重要問題集などを通して応用の問題を解けるようになる(高3夏休み中まで)
- 過去問演習をする
「など」の部分を詳しく知りたいという方も多いと思いますので、詳しく説明していきます。
セミナーなどで基本問題
この基本部分に関しては、使う参考書は例として3つあげるとすると
- 「セミナー」や「エクセル」などの学校採用問題集
- 「物理のエッセンス」&「良問の風」の河合出版の問題集
- 「入門問題精講」&「基礎問題精講」の旺文社の問題集
どれを選んでやっていっても問題ありませんが、詳しくはこちら↓に書いていますので、そちらをご覧ください。
そして、重要なのはいつまでにできるようになっておけばいいの?という所です。
この基本問題を解けるようになる部分は東工大志望の場合は高3の春休み中にはクリアしておきたい所です。
「いやいや、習い終わっていない部分も結構あるんだけど…」
っていう方もかなりの数いらっしゃるとは思いますが、一方で高2の間に高校物理の範囲を習い終える生徒さんもかなりの数いらっしゃいますから、そのトップ集団と勝負しなければならないことをちゃんと自覚しておきましょう。
もちろん最終的に帳尻が合えば問題ないわけですから、やり方としては2パターンあって、
- 学校を無視して、自分のペースで先々まで勉強を進める
- 学校で習った所は次のレベルまで先に進んでおく
です。1つ目を選ぶ場合は、映像授業などで勉強するか、塾や家庭教師などで個別の授業をお願いするかになると思います。
重要問題集などで応用問題
簡単のために敢えて応用問題という言い方をしていますが、ようは難しめの問題集にもチャレンジしておけよという話です。
これも3パターン学習ルートがあって、
- 「重要問題集」
- 「名問の森」
- 「良問問題集」&ちょっと難易度は高いけど「標準問題精講」
となります。
最後の標準問題精講はちょっと難易度が高いので、80点を目指す人には必要ないかもしれません。(良問問題集だけだと少し足りないので何とも言えませんが。)
80点を狙う方だったら、「重要問題集」か「名問の森」の2択のうちどちらかを選ぶのが無難かなと思います。
どちらを選んだとしても、
◎:自力で解けた
〇:凡ミス程度
△:解答を見て理解した
×:解答を見ても理解できなかった
という印を問題ごとに付けつつ進んで、全て◎にしたところで終了となります。
ここまでを高3の夏休み中には終えておきたい所です。
重問と名問の比較に関してはこちら↓に詳しくまとめています。
過去問演習
過去問演習については
「何年分やればいいんですか?」
という質問が一番多い気がします。もちろん人によって全く違うに決まっているのですが、そうは言っても一般的な目安くらい教えてくれてもってなると思います。
もし、私の担当する生徒が物理で80点を目指している場合は最低でも10年分は指導します。
15年分載っている教学社の過去問もありますし、駿台から模試の問題も出ていますから、これらを使って指導することが多いです。
夏休み中から始めて最低でも夏休み中に5年分。
その頃には苦手な科目もかなり分かってきていると思うので、物理にどれくらいの時間を割いて、他の科目にどれくらいの時間を割くかも、自分なりにバランスを考えると良いと思います。
過去問演習のポイントはこちらになります。
- 時間を計って解く
- 時間無制限で解けるところが増えそうかペンの色を変えてチャレンジする
- 解説を全て読む(正解した問題も違う解き方がないかを意識する)
- 類題を問題集で解く
基本的にはこれを繰り返すことになります。
まず時間を計って解くのは絶対に守らなければならないルールです。
東工大に関して言えば、試験時間は長くて余裕が大分ありますから、それほど気にする必要はないかもしれませんが、
センター試験や共通テストに関して言えば、それなりにスピード感も必要ですし、滑り止めとして受験する他の私立大の試験時間が長いとは限らないので、そちらを意識して時間を計るようにしてください。
次に時間無制限にしてみて、解ける範囲が増えそうかどうかの確認です。
これも東工大の場合はそれほど気にする必要はないかもしれませんが、「解くスピードが足りていないのか、時間がたりていないのか」の判断もできずに勉強を続けるのは賢い方法ではありません。
解説全てを読むのも当たり前ですが、実は結構出来ていない人が多くて過去問をやっている意味が減っていたりします。
※物理よりも数学や英語や国語でこの傾向が強くて全然成長しない人がいるので注意が必要です。
そして最も重要なのは「類題を解くこと」です。
余裕で解けた問題以外は全て類題を探して解く必要があります。
もし、一つ前の手順で使った問題集の問題は全て覚えちゃって類題を解く意味がないという方に関しては、他の参考書を使ってもいいです。
こちらに関しては類題を解くため専用の問題集として、全部をきっちり解く必要はありません。
特に、「熱力学」「波動」「原子」の分野に関してだけはとにかく類題を解くことが重要です。
というのも出題回数が少ないために演習量不足になっている方が多いからです。
その他(共通テストとか微積物理とか)
他に質問が出そうなことを先につぶしておきましょう。
まず共通テストについてですが、センターと同様の扱いになると考えられるので、それほど重要ではありません。
ですが、12月に入ったら、勉強時間の半分ほどは共通テスト対策に割り振ってください。
特に東工大を目指している方に関して言えば、スピード感が失われている方が多いので、センターや共通テストなどの簡単な問題を素早く正確に解く練習というのも必要です。
私が指導するときには、(センターの指導経験がメインですが、)8割はどの科目でも取れていないと話にならないと話しています。
大学に入ってからのことを考えると、大事ではないと言っても、それくらいできるのは当たり前です。数学が得意なだけで受かってしまう東工大だからこそ、こういった所をおろそかにしてはいけないと思います。
微積物理に関しては、80点が目標の方は完全に無視で構いません。
もしどうしても不安な方は私がYouTubeに上げているハイレベル高校物理の再生リストだけサッとご覧いただければと思います。
それで正直十分すぎるくらいだと思います。(100点以上を目指す人でもこれで十分すぎます。)
これでも不安な方はもっと不安な科目はないか自分自身に問いかけるようにしてください。
受験で受かってから微積物理に関しては勉強すれば問題ありません。
それからこの記事を見た時点で「ヤバイ、もう間に合わない」と思った方は後半の方にパターン2の方と合わせてコメントしているので最後までぜひ付き合ってください。
物理で100点以上を狙う場合(パターン2)
100点を狙う場合はおよそ次のような流れになります。
- セミナーなどを通して基本の問題を解けるようになる(高3春休みまで)
- 重要問題集などを通して応用の問題を解けるようになる(高3夏休み中まで)
- 過去問演習をする
80点のときと、流れは同じなのですが、使うべき参考書や、各項目の深度は少し違うのでそのあたりを詳しく解説します。
セミナーなどで基本問題
この基本部分に関しては、使う参考書は例として3つあげるとすると
- 「セミナー」や「エクセル」などの学校採用問題集
- 「物理のエッセンス」&「良問の風」の河合出版の問題集
- 「入門問題精講」&「基礎問題精講」の旺文社の問題集
どれを選んでやっていっても問題ありませんが、詳しくはこちら↓に書いていますので、そちらをご覧ください。
そして、重要なのはいつまでにできるようになっておけばいいの?という所です。
この基本問題を解けるようになる部分は東工大志望の場合は高3の春休み中にはクリアしておきたい所です。
「いやいや、習い終わっていない部分も結構あるんだけど…」
っていう方もかなりの数いらっしゃるとは思いますが、一方で高2の間に高校物理の範囲を習い終える生徒さんもかなりの数いらっしゃいますから、そのトップ集団と勝負しなければならないことをちゃんと自覚しておきましょう。
80点を目指す方は「どこかのタイミングで追いついて帳尻を合わせればいい」という感覚で良いと思いますが、100点以上を狙う場合は基本的には学校を無視してでも先々まで進めておくのがおすすめです。
塾を使ってもいいですし、家庭教師を使っても良いですし、スタディサプリなどの映像授業を使ってもいいです。
もちろん、参考書を買って勉強してもいいのですが、新単元を習うところに関しては人に教えてもらう方が速いし効率もいいので、その点には注意が必要です。
スタディサプリに関してはたかだか月2000円ほどですから、参考書で勉強するのと大きく変わるわけではありません。
重要問題集などで応用問題
応用問題というのは難しめの問題をある程度解いておきましょうという意味です。
学習パターンとしては100点以上の場合は次の2パターンかなと思います。
- 「重要問題集」or「名問の森」→「標準問題精講」
- 「難問題の系統とその解き方」
まず1つ目に関して言えば、重要問題集もしくは名問の森という標準的な問題集を使い、その後、標準問題精講で少ない問題数ながらも難しいものを頑張って解いていただければと思います。
最低でもここまで行ってから過去問へ接続したいところです。でないと少し演習不足になりえます。
このパターンが一番無難なやり方かなと思います。
もう1つのパターンとしては難問題の系統とその解き方という古き良き問題集を使う形です。
難しめの問題な上に網羅度が高いという問題集なので、こちらを使うのであれば、1種類の参考書で大丈夫です。ただ少し解説が簡潔なので、今どきの高校生浪人生には少ししんどいかもしれません。
どちらを選んだとしても、
◎:自力で解けた
〇:凡ミス程度
△:解答を見て理解した
×:解答を見ても理解できなかった
という印を問題ごとに付けつつ進んで、全て◎にしたところで終了となります。
ここまでを高3の夏休み中には終えておきたい所です。
と言っても、少し難しいかもしれません。遅れても良い許容ラインとしては9月上旬くらいです。
もしくは少し残っていても過去問と並行して学習していくかですね。後半にかけて受験勉強がしんどくなる状況が作りたくなければ夏休みに必死に勉強してください。
各参考書の比較に関してはこちら↓に詳しくまとめています。
過去問演習
「過去問演習は何年分やればいいんですか?」
というのをよく聞きますが、「100点以上取りたければ、やれるだけやれ」って答えになるんですが、具体的には最低でも次の15年、駿台の東工大模試の問題も使えば、もっと勉強できます。
9月中にはスタートしないと正直間に合わないと思います。
出来れば夏休み中に5年分くらいはやっておきたい所です。
その頃には苦手な科目もかなり分かってきていると思うので、物理にどれくらいの時間を割いて、他の科目にどれくらいの時間を割くかも、自分なりにバランスを考えると良いと思います。
過去問演習のポイントはこちらになります。
- 時間を計って解く
- 時間無制限で解けるところが増えそうかペンの色を変えてチャレンジする
- 解説を全て読む(正解した問題も違う解き方がないかを意識する)
- 類題を問題集で解く
基本的にはこれを繰り返すことになります。
まず時間を計って解くのは絶対に守らなければならないルールです。
東工大に関して言えば、試験時間は長くて余裕が大分ありますから、それほど気にする必要はないかもしれませんが、
センター試験や共通テストに関して言えば、それなりにスピード感も必要ですし、滑り止めとして受験する他の私立大の試験時間が長いとは限らないので、そちらを意識して時間を計るようにしてください。
次に時間無制限にしてみて、解ける範囲が増えそうかどうかの確認です。
これも東工大の場合はそれほど気にする必要はないかもしれませんが、「解くスピードが足りていないのか、時間がたりていないのか」の判断もできずに勉強を続けるのは賢い方法ではありません。
解説全てを読むのも当たり前ですが、実は結構出来ていない人が多くて過去問をやっている意味が減っていたりします。
※物理よりも数学や英語や国語でこの傾向が強くて全然成長しない人がいるので注意が必要です。
そして最も重要なのは「類題を解くこと」です。
余裕で解けた問題以外は全て類題を探して解く必要があります。
もし、一つ前の手順で使った問題集の問題は全て覚えちゃって類題を解く意味がないという方に関しては、他の参考書を使ってもいいです。
こちらに関しては類題を解くため専用の問題集として、全部をきっちり解く必要はありません。
ちなみに80点を狙う方と違う所としては「熱力学」「波動」「原子」に関しては、東大や京大の問題を解いておいた方が良いという所です。
熱力学と波動に関しては、どちらも15回分になるように東大、京大の問題にもチャレンジしておいてください。
東工大の問題だけだと15年分解いても波動と熱力学は15回分にもならないので。
その他(共通テストとか微積物理とか)
他に質問が出そうなことを先につぶしておきましょう。
まず共通テストについてですが、センターと同様の扱いになると考えられるので、それほど重要ではありません。
ですが、12月に入ったら、勉強時間の半分ほどは共通テスト対策に割り振ってください。
特に東工大を目指している方に関して言えば、スピード感が失われている方が多いので、センターや共通テストなどの簡単な問題を素早く正確に解く練習というのも必要です。
私が指導するときには、(センターの指導経験がメインですが、)8割はどの科目でも取れていないと話にならないと話しています。
大学に入ってからのことを考えると、大事ではないと言っても、それくらいできるのは当たり前です。数学が得意なだけで受かってしまう東工大だからこそ、こういった所をおろそかにしてはいけないと思います。
微積物理に関して言えば、100点であればギリギリ必要ないくらいで、120点なんかを狙っている方は少し勉強しておいてもいいかもくらいの感じです。
私の作った教材で申し訳ありませんが、たとえば、
こちらのハイレベル高校物理に出てくる微積物理くらいが理解できれば問題ないです。
いやいやYouTubeはさすがに信用できないという方に関してはこちらの2種類の本がありますが、正直、本を使って理解するほど時間がない方の方が多いのではないかと思います。
あくまでも微積物理は最後に余った時間で勉強するものですから、そのつもりでいてください。
基本的には受験が終わった3月から勉強を始めるのがおすすめです。
正直、ここを無視して、早い段階から微積物理に取り組んで失敗する浪人生が結構な数いますので、注意が必要です。
それからこの記事を見た時点で「ヤバイ、もう間に合わない」と思った方は記事の後半の方にコメントしているので最後までぜひ付き合ってください。
東工大の物理の出題分野
次に出題分野について少し丁寧にまとめておきましょう。
5年分遡って簡単にまとめておきます。
問題 | 出題分野 |
---|---|
1.力学 | 二体問題、振り子、慣性力 |
2.電磁気 | 磁場下の荷電粒子の運動 |
3.熱力学 | 相変化、ばね付きピストン |
問題 | 出題分野 |
---|---|
1.力学 | 万有引力、単振動、衝突 |
2.電磁気 | ばね、コンデンサ、過渡現象 |
3.熱力学 | 断熱変化、マイヤーの式 |
問題 | 出題分野 |
---|---|
1.力学 | 二体問題、円運動、摩擦 |
2.電磁気 | 電磁誘導、コイル、自己誘導 |
3.波動 | 回折格子、レンズ、干渉 |
問題 | 出題分野 |
---|---|
1.力学 | 単振動、浮力 |
2.電磁気 | 導体棒の電磁誘導 |
3.熱力学 | 断熱膨張、分子運動論、 |
問題 | 出題分野 |
---|---|
1.力学 | ひも、摩擦、モーメント |
2.電磁気 | 電磁誘導、コンデンサ、コイル、振動電流 |
3.熱力学 | 水圧、弾性エネルギー、重力の位置エネルギー、気体の状態変化 |
基本的には、力学と電磁気が必須です。
もう1問は熱力学、波動のうちどちらかというのがずっと続いていて、5年分だけさかのぼると、熱力学の方が多い気がしますが、2010までさかのぼると、熱と波の混合問題も含めて50%の出題になっています。
グラフを描いたり、選んだりというような問題が毎年のように出るのが東工大の特徴でして、そのあたりは意識して勉強しておくといいかもしれません。
もうすでに、問題集を使った演習をある程度こなしている方の場合、上に挙げた出題分野の少ないヒントでどんな問題が出るか想像できるかどうかは習熟度の1つの目安になります。
たとえば、2019の力学を見ると、「万有引力、単振動、衝突」とありますが、万有引力と単振動とセットで来たら、天体の中にトンネルが開いているあの問題だなと思えるでしょうか?
こういった感覚がある人ほど高得点につながりますので、過去問を解いた際には、図と問題の内容をセットで暗記していくといいですね。
ちなみに原子分野に関しては少なくとも2010までさかのぼっても出てこないのですが、原子分野を捨てて勉強するのも入学後のことを考えるとどうなのかなと思うのが私のスタンスです。
記事を読んだ段階で間に合わないかもと思った方

この記事を読んだ段階でもう既に間に合わないかもと思った方もいらっしゃると思います。
例えば、部活を夏までやっていて、受験について意識したのがそれ以降とか。。。
私も実はそのタイプで浪人を経験しました。
手始めに考えるべきことは次のような内容です。
- 本当に間に合わないのか?間に合わないと判断する基準は?
- 勉強法で見直すべき所はないか?
- 削るとしたら、どこを削るべき?
間に合わないかどうかの判断の基準
まず、間に合わないといっても「独学で間に合わない」のか「塾や家庭教師などの手を借りても間に合わない」のかで大きく異なってきます。
独学で間に合わないかどうか判断する基準は9月末までに重要問題集レベルのものがあらかた解けるようになっているかどうかです。
「あらかた」と言うと、少し曖昧ですが、7割くらいは自分で解ける状態(上述の◎)にしておきたいです。
これをクリアしていれば、受験勉強の後半期にやるべき過去問の数を少し削ってでも挑戦してもいいかなと思えます。
もちろん、習っていない分野が残っていて、そこ以外は終わっているならまだ間に合う可能性は十分あります。
逆に言うと、この条件をクリアできない場合は、独学では厳しいということを念頭において勉強する必要があります。
次に考えるべきなのは人を雇って間に合うかどうかですが、これは実際に教えてくれる人の判断が最優先されるべきです。
ですが、上述の条件をクリアできないと判明したのが、9月末だと、それなりにお金を払って各科目、効率的に対策しないと間に合わない可能性が高いです。
というか、それだけ気づくのが遅いタイプの人の典型的なパターンは気づいた時点で人を頼っても現役合格は厳しいというパターンです。
東工大を目指している受験生がこの記事を見るのが少しでも早ければいいなと本気で思います。
というわけで、クリアできなさそうだなと思った段階ですぐに塾や家庭教師に相談をしに行ってください。
この記事をザっと読んでいただいて、その後、実際に自分が単位時間あたりにどれくらい勉強が進んでいるのか計れば、すぐに間に合うかどうか計算できるので、賢い受験生はそれくらいのことはしていると思って、すぐにタイムトライアルをしてみてください。
ちなみに、ここで挙げた条件をクリアしている受験生はかなり少ないと思います。
これは当たり前のことでして、最初は東工大を第一志望にしていた受験生のほとんどが早々に脱落し、受験をすると残った受験生もかなりの割合で不合格になるわけですから、ここで書かれていることが特殊なこととは思わないでください。
間に合わないと分かっていても挑戦したいという方は、浪人なり私立に通うなりの覚悟を決めて対策をしてください。
勉強法を見直して、削るべき所を削れば少しだけでも可能性を上げることはできるかもしれません。
勉強法で見直すべき所
勉強法で見直すべき所はここまでを真面目に読んでいただいた方ならいくつか発見があったかもしれません。
問題集や過去問の量とペースなんかを意識せずに勉強しているとまず間違いなく受験に失敗します。
そしてそれだけでなく集中力や、類題の重要性、そして問題演習の重要性も意識して勉強すると大きく成果が変わってきます。
このあたりをかなり詳しく書いた記事がこちら↓です。
これを読むだけでもほとんどの受験生の成績が1割は変わると思っています。冗談ではなくそれくらい変わります。
それくらい私が実際に受験指導をするときに意識的に伝えていることが自宅学習の勉強法です。
この節では勉強量について最後に一言だけ申し上げておきます。
まず、「質の良い勉強法」というのも大事ですし、「遠回りしない」というルート選びも大事ですが、「勉強量」も単純に大事です。
経験上、浪人を経験する受験生のほとんどが勉強量が足りていません。
多少ルートを間違えようが、勉強の質が悪かろうが、毎日14時間、365日休まずに勉強できるのであれば、かなりの確率で志望校に合格します。
受験生として、最低でも(学校を含めて)12時間は毎日勉強できるようになっておいてください。
※もちろん先天的に厳しい方はいらっしゃると思いますので、そういった方は長期プランで受験を考えてください。
削るとしたらどこ?
色々見直してみたけど、どうしても間に合わないという方に向けて削るとしたら、どこを削るかという提案をしてみます。
大前提として、「勉強時間」「勉強法」を見直してから、さらに「お金」で解決できるかどうかも見直してから、の話になっていると思っておいてください。
- ◎は諦めて〇でもOKにする
- 過去問の年数を減らす
- 原子分野と熱力学と波動の割合を減らす
まずは上述の4種類の印のうち◎と〇の差程度は諦めるということです。
少なくとも〇であれば、凡ミスと自分が許せる範囲内ということですから、大きく解答から外れているわけではありません。
もちろん凡ミスが異様に多い生徒さんは一定の割合でいらっしゃるので、不安な点は残るわけですが、そもそも削らなければいけない状況を考えて、諦めることにしましょう。
また、「凡ミスという判断が人によって違う」ということも鋭く指摘される方がいらっしゃいますが、これも正直なところ、その判断が甘い時点で、かなり合格の可能性は低いわけですし、物理に関して言えば、「凡ミス」の定義にそれほど多様性はありませんので、気にしなくていいかなという所です。
次に過去問の年数を減らすということです。
とはいえ、最低でも5年分は解かないとさすがに厳しいと思います。
もちろん現役で受かる生徒さんの中にはそれよりも少ない過去問演習で受かる生徒さんは結構いらっしゃると思いますが、そういった生徒さんの半分はもう一度同じ条件で受ければ落ちると思います。
それだけ合格最低点あたりに人が集まっていますので。
あくまでも内容面は頭に入っていて、「問題の出題形式に慣れる程度」でしかないのが5年分です。過去問を解いて成長するためには最低でも10年は必要ですから、そういった意味での最低限になっています。
最後に、これは正直あまりおすすめではないですが、原子分野を捨てて、場合によっては熱力学と波動分野も捨てるというやり方もあります。
かなり過激なやり方で、大学入学以降かなりしんどい思いをするので全くおすすめはしませんが、背に腹は代えられないということで、この選択肢もなしではありません。
力学と電磁気に集中すれば、150点満点中の2/3である100点満点のテストに早変わりしますが、一方で勉強時間も2/3くらいで済みます。
もちろん本当はこんな単純な計算ではなく、勉強の精度を上げないと必要な点数に届かないことも多いですから、かなりの賭けであることは間違いありません。
おわりに
かなり長くなりましたが、これだけ書けば少なくとも検索エンジンの上位に入っている記事の中では最も詳しいという自信はあります。
私は物理が専門ですから、物理についてまとめてみましたが、使う教材を変えれば、数学と化学に関してはほとんど同じ内容が当てはまると思います。
※実際に受験生の指導をするときにはほとんど同じようにペースメイキングします。
読んでくださった皆さんが受験で成功なさることを期待しています。
それではまた、所長でした!