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では簡単な例として、
f(x)=3x+1
\end{align}
という関数を考えてみることにしましょう。
これは\(x\)という情報を入力したときに\((3x+1)\)という情報を出力するfという名前の関数でしたね。
このとき入力と出力は完全に一対一対応しているので、出力の情報から入力の情報を引き出す操作も可能なはずです。
具体的にいうと、
f(x)=10
\end{align}
のときの\(x\)の値は簡単な計算からすぐに求めることができて、\(x=3\)であることがわかります。
このように関数fに対応して、\(f\)の逆操作を行う関数のことを\(f\)の逆関数と言います。エフインバースと読んで以下のような書き方をすることが多いです。
f^{-1}(x)
\end{align}
では次に、\(f\)に対して、具体的に逆関数を求めてみよう。
操作としては簡単で以下の手順を踏めば求められます。
1.
\(f(x)\)を\(y\)とおく。
y=3x+1
\end{align}
2.
\(x\)について解く。
3x=y-1\quad\Longleftrightarrow\quad x=\frac{x-1}{3}
\end{align}
3.
\(x\)と\(y\)を入れ替える。
y=\frac{x-1}{3}
\end{align}
4.
この右辺がもとの\(f\)の逆関数になっている。
f^{-1}(x)=\frac{x-1}{3}
\end{align}
実際にこの手続きでうまく逆関数ができているか確認するためには、逆関数の\(x\)の部分に、\((3x+1)\)を代入すればよいですね。
\(x\)が\(f\)という関数によって\((3x+1)\)に姿を変えて出力されるのであれば、その結果である\((3x+1)\)を\(f\)の逆関数に入力するともとの\(x\)に戻っているはずです。それが逆関数の定義なので。
というわけで実際に検算してみると、
f^{-1}(3x+1)=\frac{(3x+1)-1}{3}=x
\end{align}
となり、先ほどの操作が正しかったことがわかります。より一般的な書き方をするなら\((3x+1)\)の部分を\(f(x)\)と書き直した以下の形を用いる方が良いですね。
f^{-1}(f(x))=x
\end{align}
もちろん、逆順に\(x\)を代入しても同じ結果が得られるはずなので、
f(f^{-1}(x))=x
\end{align}
が成立します。高校の数学の範囲では1次元の入力に対して、1次元の出力を得る関数の逆関数がわかればよいので、以下のように逆関数を定義することにします。
定義
以下の性質を満たす関数を互いに互いの逆関数と呼ぶ。
f(f^{-1}(x))=f^{-1}(f(x))=x
\end{align}
注意
逆関数が求められない場合もあることに注意が必要です。
例えば、関数として天気図を選んだ時のことを考えてみましょう。天気図をみると、ある地点(緯度経度)を入力すれば、その地点での風向き&風の強さを出力として得ることができます。
しかし、同じ風向き&風の強さを表す地点が他にある場合も多く、出力側から入力の情報をただ一つに決め打ちすることはできません。(「一意に決められない」という表現をよく使う。)
こういった場合に逆関数を定義することは難しいです。
問題
以下の関数\(f\)の逆関数を求めよ。
1.\quad f(x)=5x\qquad 2.\quad f(x)=x^2
\end{align}
ただし、2番は\(x\geq0\)の部分とする。
解答
1. こちらは解答だけで大丈夫ですよね。
f^{-1}(x)=\frac{x}{5}
\end{align}
2. こちらは少し注意が必要です。先ほどの手順通り解くと、
y=x^2\quad \rightarrow \quad x=\pm\sqrt{y}
\end{align}
が出てきますが、今回考えるのはこのうち、\(x\)が\(0\)以上の部分だけなので、符号は正のみを選びます。よって
f^{-1}(x)=\sqrt{x}
\end{align}
関連リンク
>>YouTubeで使用可能な数学と物理の参考書「アラサー高校物理」