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タイトル通り微分の新しい公式をいくつか覚えていただきます。
まずは微分の公式からですね。公式と言っても大したことはありません。次の形をした関数の微分を考えてみましょう。
\frac{d}{dx}\left(f(x)g(x)\right)
\end{align}
積の形をした関数の微分です。微分をこのテキストで初めて習ってから時間が経っているでしょうが、微分の定義を覚えているでしょうか?
\frac{d}{dx}f(x)=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}
\end{align}
でしたね。自信がなければ、微分の章だけ軽く読み直してからもう一度ここに戻ってきてください。この定義を使って初めの微分を考えていきましょう。
長いですけど、以下のように変形するだけです。
&\frac{d}{dx}\left(f(x)g(x)\right)\\
=&\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}\\
=&\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}\\
=&\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}g(x)+\lim_{h\to0}\frac{g(x+h)-g(x)}{h}f(x)\\
=&f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
\end{align}
特に2行目から3行目に移るときに無理やり分子に2つほど差し込みました。無理やりと言っても差し込んだものは足し合わせるとゼロなので、問題はありません。さて最終結果は公式として覚えておいてもらいたいものです。
公式
\frac{d}{dx}\left(f(x)g(x)\right)=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)
\end{align}
この公式は3つ以上の積になっていても使えます。面倒なので、示しませんが余裕があれば示してみてください。
\frac{d}{dx}\left(f(x)g(x)h(x)\right)=f'(x)g(x)h(x)+f(x)g'(x)h(x)+f(x)g(x)h'(x)
\end{align}
問題に行く前に商の形の関数の微分もやっておきましょう。
&\frac{d}{dx}\left(\frac{f(x)}{g(x)}\right)\\
=&\frac{d}{dx}\left(f(x)\cdot \frac{1}{g(x)}\right)\\
=&f'(x)\cdot\frac{1}{g(x)}+f(x)\frac{d}{dx}\left(\frac{1}{g(x)}\right)\\
=&\frac{f'(x)}{g(x)}+f(x)\left(\frac{-g'(x)}{(g(x))^2}\right)\\
=&\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{(g(x))^2}
\end{align}
これもわざわざ毎回導くのは面倒なので、公式として覚えておくといいと思います。
公式
\frac{d}{dx}\left(\frac{f(x)}{g(x)}\right)=\frac{f'(x)g(x)-f(x)g'(x)}{(g(x))^2}
\end{align}
問題
以下の関数を\(x\)で微分せよ。
&1.\quad x^2(2x+3)\\
&2.\quad x^2(2x+3)^{\frac{3}{2}}\\
&3.\quad f(x)g(x)h(x)\\
&4.\quad \frac{x^2}{2x+3}\\
&5.\quad \frac{x+1}{\sqrt{x}}\\
&6.\quad \frac{g(x)}{(f(x))^2}
\end{align}
解答
1.
前半3つは積の形をした関数の微分の問題です。
&\frac{d}{dx}\left(x^2(2x+3)\right)\\
=&2x(2x+3)+x^2\cdot2\\
=&6x^2+6x
\end{align}
2.
&\frac{d}{dx}\left(x^2(2x+3)^{\frac{3}{2}}\right)\\
=&2x(2x+3)^{\frac{3}{2}}+x^2\cdot \frac{3}{2}(2x+3)^{\frac{1}{2}}\cdot2\\
=&(2x+3)^{\frac{1}{2}}\left(2x(2x+3)+3x^2\right)\\
=&(2x+3)^{\frac{1}{2}}(7x^2+6x)
\end{align}
3.
&\frac{d}{dx}\left(f(x)g(x)h(x)\right)\\
=&\frac{d}{dx}\left(f(x)(g(x)h(x))\right)\\
=&f'(x)g(x)h(x)+f(x)\frac{d}{dx}\left(g(x)h(x)\right)\\
=&f'(x)g(x)h(x)+f(x)g'(x)h(x)+f(x)g(x)h'(x)
\end{align}
4.
後半3つは商の微分の問題です。
&\frac{d}{dx}\left(\frac{x^2}{2x+3}\right)\\
=&\frac{2x(2x+3)-x^2\cdot2}{(2x+3)^2}\\
=&\frac{2x(x+3)}{(2x+3)^2}
\end{align}
5.
&\frac{d}{dx}\left(\frac{x+1}{\sqrt{x}}\right)\\
=&\frac{\sqrt{x}-(x+1)\cdot\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{\sqrt{x}}}{x}\\
=&\frac{x-1}{2x\sqrt{x}}
\end{align}
6.
&\frac{d}{dx}\left(\frac{g(x)}{(f(x))^2}\right)\\
=&\frac{g'(x)(f(x))^2-g(x)\cdot2f(x)f'(x)}{(f(x))^4}\\
=&\frac{g'(x)f(x)-2g(x)f'(x)}{(f(x))^3}
\end{align}
もう少し頑張って数学を続けていきます。あと少しだけ頑張れば、三角関数の微分積分ができるようになります。
関連リンク
>>YouTubeで使用可能な数学と物理の参考書「アラサー高校物理」