ども、所長です!
今回は数学の参考書の紹介です。
数学に関しては数研出版の教科書傍用問題集が基本的には学校で配られていて、それを使った学習を最初にする人が多いと思います。
- オリジナル
- 4STEP
- サクシード
- スタンダード
- 4プロセス
- クリアー
あたりは様々な学校でよく採用されている問題集です。
今回紹介する参考書は教科書傍用問題集が一通り終わった後によく使われる問題集です。
傍用問題集が終わった後、よく使うのは
- 数研出版の「青チャート」
- 東京出版の「1対1対応の演習」
- 旺文社の「標準問題精講」
の3シリーズです。
一般的な受験生にとってこれら全てに挑戦するのは時間的にかなり無謀ですし、2つでも相当得意な子どもでないと厳しいです。
ですからこれらを選ぶ基準をここでまとめておきたいと思います。
目次
この記事の著者
この記事を書いている私は、東大出身のベテラン塾講師でして、専門は物理です。
これまで京大や東工大などの最難関な大学への受験生の指導から日東駒専や短大なども含む偏差値のそれほど高くない大学を目指す受験生の指導など幅広く、社会・生物・地学を除く全科目の指導を行っています。
最近はYouTubeにも物理の動画を投稿しています。
到達点について
上述の3つの参考書に難易度の順を付けている記事もありますが、私はそれほど差はないと考えています。
問題の幅広さ(解法テクニック含む)と、解説を読むのに必要な読解力を難易度の差と勘違いされている方が多いように感じます。
この3つのうち、どの参考書もしっかり全て解けるところまで勉強できれば、大抵の大学で過去問演習に入ることができるところまで到達します。
東大、京大、東工大の理系学部や、レベルの高い医学部などでは少しだけ演習が物足りない感じはありますので、それ以外までならということになります。
それでは、この前提条件を踏まえて以下の比較を読んでいただければと思います。
数研出版 : 青チャート
まず私が一番おすすめするのは青チャートです。
メリット
青チャートのメリットは問題数が多いことです。
これまでの経験上、青チャートくらいの量の問題は解かなければ、このレベルの問題集は身につかないことが多いです。
1を聞いて10を知るようなタイプでない限りはこれくらいの厚さの問題集を扱うことは初めから覚悟しておいたほうが結果的に短い距離で求めるレベルまで到達できます。
傍用問題集に載っているレベルの問題から始まり、(最難関を除く)入試レベルまで幅広く扱っています。
基本的には例題があり、その下にその例題の解き方が書いてあります。
さらに類題がその下に申し訳程度に載っている、というのが頭から最後までずっと続く形です。
例題の解き方を読んでも理解できない問題が多い人(3割以上わからない人)は青チャートを一人でやるのは無理です。
教科書傍用問題集さえある程度できるようになっていれば、例題の解き方は理解できるはずなので、それが理解できないようであれば、もう一度傍用問題集に戻るのがいいでしょう。
この例題、例題解説、類題は今回比較する参考書全てにあてはまります。
また青チャートには単元ごとにまとめて問題がずらっと並んだページもありますが、そちらも(志望校にもよりますが)最終的には、こなさなければならないです。
その問題群の中にわりと重めのものがあるので、そこで割と時間がかかってしまうかなという印象です。
いずれにせよ、東大、京大、東工大などを除けば、基本的に青チャートさえ全部できれば過去問を解いてもそれなりに点数が取れるところまではいきます。
デメリット
デメリットは主に二つで、
一つ目はメリットと被るのですが、問題数が多いことです。
ですから周回するのになかなか気合が必要です。1A2Bだけでも、3か月はどれだけ急いでもかかります。さらに数3は計算量が少し多いですから、1つで1A2Bと同じくらいかかることがほとんどです。
ですから、12月頭から過去問を始めると仮定しても、それなりに早い段階から青チャートに入っておかないと厳しいことになります。
二つ目は分厚いことです。
分厚いと持ち運びがしんどいですよね。ただでさえ、参考書が多くなってしまう受験生のカバンですが、重いからという理由でチャートを置いてきたりする生徒が多いです。
置いてきたら参照できないじゃないか。。。と先生の立場としてはなるのですが、その意味でデメリットです。
また、分厚いと、開いたまま勉強するのが結構難しいですよね。それがちょっとしたストレスになります。
私はこれが嫌で自分ではやりませんでしたけど、結局塾では青チャートをやらせまくってます。
これらのデメリットを鑑みても、十分な演習量を確保するために青チャートくらいは必要なことがほとんどだからです。
問題数
1A:例題314問、練習314問、EXERCISEなどの章末問題290問
改訂版:例題329問、練習329問、EXERCISEなどの章末問題293問
2B:例題409問、練習409問、EXERCISEなどの章末問題329問
改訂版:例題420問、練習420問、EXERCISEなどの章末問題269問
3:例題271題、練習271問、EXERCISEなどの章末問題299問
東京出版 : 1対1対応の演習
続いて1対1対応の演習についてです。
メリット
1対1は青チャートと比べるとだいぶ薄いので、その分、受験生にとって扱いやすいかなと思います。
薄さと6冊にちゃんと分かれているところから、受験生にとっては「進んでいる感じ」が実感しやすい参考書ですね。
私も浪人時代に使いましたが、3月から5月くらいでたしか全て1周終わらせたと思います。
少しだけテクニカルな解き方がたまに入っているのが東京出版の数学の参考書の特徴の一つです。
とはいえ、大学生以上の理系の学生であればそれも特殊とは別に思わないので、受験生にとっては少し特殊といった程度の範囲に収まっています。
ある程度、傍用問題集で知識を汲んだ人にとってはそこには載っていないテクニックを得るのにも良い問題集です。
どちらかというと青チャートとは逆で1を聞いて10を知るタイプの人に適している問題集だと考えるといいと思います。
東京出版はスタンダード演習という次のレベルの参考書もあるので、1対1に慣れればそこへ接続しやすいというメリットもあります。
デメリット
デメリットとしては、薄いことで網羅性が少し低いことが一つ目としてあげられます。
そのため1を聞いて10を知るタイプ用の問題集と言いました。
また、レイアウトが少し簡潔すぎると思う生徒も多いかもしれません。
例題、例題解説、類題の流れは青チャートと同じですが、類題の解説は別冊の解説集にあるのではなく、巻末にあるので、少し答え合わせが面倒です。
二つ目は、メリットと被る部分でもあるのですが、少しテクニカルな部分もあって、そこは読解力が必要な可能性もあります。
数学の解答の読解力に自信のない方は、たとえ傍用問題集を一通り学習していてもおすすめしません。
そして青チャートと比べると簡単めな問題はそぎ落とした問題選定になっているので、できない場合は手も足も出ない問題が多くなるのも場合によってはデメリットになるかもしれません。
ただ、その点に関しては、ただレベルが合ってないだけですので、参考書に文句を言うのは少し間違っている気もしますが。。。
問題数
1:例題53問、演習50問
A:例題54問、演習54問
2:例題83問、演習83問
B:例題41問、演習41問 融合例題18問、融合演習18問
3(微分・積分編):例題75問、演習75問
3(複素数平面・式と曲線編):例題30問、演習30問、融合例題6問、融合演習20問
旺文社 : 標準問題精講
次は旺文社の標準問題精講です。
メリット
この参考書はここまで説明した二つと比べて説明が一番丁寧な問題集です。
ですから、数学の解答の読解に自信のない人はこれ一択です。
色合いやら文字のサイズ感やらを含めて見やすさも一番です。
凝ったテクニックを使っているところもなく、標準的な解き方を一通り見やすい問題集で勉強したいという生徒にはぴったりですね。
分厚すぎることもなく、サイズ感も運びやすいですし、その辺も受験生のことを考えているのかなと思います。
このシリーズは分野に特化したものや、次のレベルの参考書(上級問題精講)もあるので、標準問題精講に慣れれば、そういう本にも接続しやすいですね。
デメリット
デメリットとしてはこれもやはり青チャートと比べると網羅性は低いところですね。
簡単な問題と難しすぎる問題は割と削っている感じです。
レイアウトや持ち運びやすさ、取り組みやすさを選んだ結果として、網羅性を少し失っているという感じなので、しょうがないかなという気もします。
また、説明の丁寧さと見やすさを選んでしまったがゆえに見開きページで問題が完結しないという面倒な側面もあります。
問題数
1A:例題101問、練習約200問
2B:例題165問、練習約300問
3:例題116問、練習約200問
まとめ
さてここまでをまとめると、
青チャート
- 分厚い分、網羅性はある。そのため色んな意味で重い。
- 最終的な到達ポイントは一番高い。
1対1
- 薄いので、網羅性は落ちる。両方の意味で軽い。
- ただし、読解力が必要。
- 少しテクニカルな解き方を学べる。
標準問題精講
- 重みは青チャートと1対1の間くらい。
- 説明が一番丁寧。レイアウトも良し。
といったところでしょうか。
塾講師の観点から
塾講師が使う場合は基本的には青チャートが一番です。
理由は上で説明した通りで、網羅度が最も高く、そして塾講師側が問題を間引くことも可能だからです。
今まで使ってきた感覚で言うと、1対1で能力の上がる子は塾講師は必要としないです。
逆に塾講師が必要なら1対1は合わない可能性が高いです。
そして標準問題精講に関しては解説が見開きになっていない点が塾講師の立場からはだいぶ減点になります。
解説しづらいからです。
問題を途中まで解説ページ開きながら説明して、(2)番の問題に移るときにわざわざページを戻って、ってやるのがストレスです。
標準問題精講は自習用課題として使いやすい印象です。
参考になりましたでしょうか。
今回はここまでとします。
それではまた、所長でした!
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